【内分泌】副腎髄質ホルモンの種類と作用|アドレナリン・ノルアドレナリンを図解で解説

2章 人体構造・機能論

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🔰 この記事について

この記事では、
副腎髄質から分泌されるホルモンについて、
図解を用いてわかりやすく解説しています。

副腎髄質から分泌される
アドレナリン・ノルアドレナリンを中心に、

  • カテコールアミンの種類と合成
  • 分泌調節
  • アドレナリン受容体を介した作用
  • アドレナリンとノルアドレナリンの違い
  • 分泌異常と褐色細胞腫

など、国家試験や定期試験で
押さえておきたいポイントを整理しています。

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副腎皮質ホルモンとの違い
にも注目しながら、
重要事項を確認していきましょう。
▶️ 副腎皮質ホルモンについてはこちら

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🩺 学習の進め方

本シリーズは
「5択クイズ編」+「要点解説編」の2本立てです。

📌 おすすめの学習ステップ

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▶︎ カテコールアミンの合成
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▶︎ アドレナリン・ノルアドレナリンの作用
▶︎ 副腎髄質ホルモンと疾患

副腎と副腎髄質

  • 副腎は、左右の腎臓の上部に位置する
    内分泌器官です。
  • 副腎は、
  • 外側の副腎皮質
  • 内側の副腎髄質

  から構成されています。

  • 副腎皮質からは、
    コルチゾールやアルドステロンなどの
    ステロイドホルモンが分泌されます。
    ▶️ 副腎皮質ホルモンについてはこちら
  • 一方、副腎髄質からは、
    カテコールアミンと呼ばれるホルモンが
    分泌されます。
副腎髄質のクロム親和性細胞と交感神経節前線維、アドレナリン・ノルアドレナリンの分泌を示す図
図1:副腎髄質と分泌されるホルモン
副腎髄質は交感神経節前線維による支配を受け、クロム親和性細胞から
アドレナリン・ノルアドレナリンなどの
カテコールアミンが分泌される。
副腎皮質からは、コルチゾールやアルドステロンなどの
ステロイドホルモンが分泌される。
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  • 副腎髄質から分泌される
    主なカテコールアミンは、
  • アドレナリン
  • ノルアドレナリン

   です。

  • カテコールアミンは、
    アミノ酸のチロシンから合成される
    アミン型ホルモンです。
  • 副腎髄質には、
    クロム親和性細胞(クロマフィン細胞)
    と呼ばれる細胞が存在します。
  • クロム親和性細胞は
    交感神経と密接に関係しており、
    交感神経からの刺激を受けると、
    カテコールアミンを血液中へ分泌します。
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副腎髄質は
交感神経系と内分泌系をつなぐ組織
として働いています。

カテコールアミンの合成

  • アドレナリンやノルアドレナリンなどの
    カテコールアミンは、
    アミノ酸の一種であるチロシン
    から合成されます。
  • 合成は、

 チロシン → L-ドーパ(L-DOPA)
      → ドパミン
     → ノルアドレナリン

   の順に進みます。

  • 副腎髄質では、ノルアドレナリンがさらに
    アドレナリンへ変換されます。
  • この反応には、
    フェニルエタノールアミン-N-メチルトランスフェラーゼ(PNMT)
    という酵素が関与します。
副腎髄質と交感神経節後線維におけるカテコールアミン合成経路を比較した図。チロシンからL-ドーパ、ドパミン、ノルアドレナリンを経て、副腎髄質ではPNMTによりアドレナリンまで合成されることを示す。
図2:副腎髄質と交感神経節後線維におけるカテコールアミン合成
カテコールアミンは、チロシンから
L-ドーパ、ドパミン、ノルアドレナリンの順に合成される。
副腎髄質ではPNMTによりさらにアドレナリンが合成され、
主にアドレナリンが分泌される。
一方、交感神経節後線維では主にノルアドレナリンが放出される。
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  • 副腎髄質では、PNMTによって
    アドレナリンまで合成されるため、
    血液中へ分泌されるカテコールアミンは
    アドレナリンが中心となります。
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交感神経節後線維では、
PNMTによるアドレナリンへの変換
がほとんど行われないため、
神経終末から放出される
主なカテコールアミンは
ノルアドレナリンです。

カテコールアミンの分泌調節

  • 副腎髄質からのカテコールアミン分泌は、
    主に交感神経によって調節されています。
  • 副腎髄質には、
    交感神経の節前線維が直接分布しています。
  • 身体的・精神的ストレスや運動、
    低血糖、血圧低下
    などによって
    交感神経が興奮すると、
    交感神経節前線維の終末から
    アセチルコリン(ACh)が放出されます。
  • アセチルコリンが副腎髄質の
    クロム親和性細胞に作用すると、
    アドレナリンやノルアドレナリンの分泌
    が促進されます。
副腎髄質のカテコールアミン分泌調節を示した図。ストレス、運動、低血糖、血圧低下により交感神経が興奮し、節前線維終末からアセチルコリンが放出され、副腎髄質からアドレナリン・ノルアドレナリンの分泌が増加する。
図3:副腎髄質からのカテコールアミン分泌調節
身体的・精神的ストレス、運動、低血糖、低血圧などにより
交感神経が興奮すると、
交感神経節前線維終末からアセチルコリン(ACh)が放出される。
AChが副腎髄質のクロム親和性細胞を刺激し、
アドレナリン・ノルアドレナリンの分泌が促進される。
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副腎皮質ホルモンが、
視床下部ー下垂体系やRAA系など
ホルモンによる分泌調節
を受けるのに対し、
副腎髄質ホルモンは
神経性の調節が中心となります。

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▶︎ カテコールアミンの分泌調節
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▶︎ 副腎髄質ホルモンと疾患

アドレナリン・ノルアドレナリンの作用

  • アドレナリンとノルアドレナリンは、
    標的細胞の細胞膜に存在する
    アドレナリン受容体に結合して作用します。
  • アドレナリン受容体には、
  • α₁受容体
  • α₂受容体
  • β₁受容体
  • β₂受容体
  • β₃受容体

   があります。

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主要な受容体と作用を
以下の表で確認しておきましょう。

受容体主な分布主な作用
α₁受容体血管平滑筋、
瞳孔散大筋など
血管収縮、
散瞳
α₂受容体交感神経終末などノルアドレナリン放出抑制など
β₁受容体心臓、
腎臓など
心拍数↑、心収縮力↑、
レニン分泌↑
β₂受容体気管支平滑筋、
血管平滑筋など
気管支拡張、
血管拡張(一部の血管)
β₃受容体脂肪組織など脂肪分解↑
アドレナリン・ノルアドレナリンの受容体と作用を示した図。β₁受容体による心機能亢進、α₁受容体による血管収縮、β₂受容体による気管支拡張、肝臓での血糖上昇、β₃受容体による脂肪分解と、両ホルモンの特徴の違いを示す。
図4:アドレナリン・ノルアドレナリンの主な作用と特徴
アドレナリン・ノルアドレナリンは、α・β受容体を介して
心臓、血管、気管支、肝臓、脂肪組織などに作用する。
アドレナリンではβ₁・β₂作用が目立ち、
心機能亢進や気管支拡張、エネルギー代謝の促進に関与する。
一方、ノルアドレナリンではα₁作用が強く、
血管収縮や血圧上昇が代表的である。
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アドレナリンとノルアドレナリンは
どちらも複数のアドレナリン受容体
に作用しますが、
受容体への作用の強さには
違いがあります。

アドレナリン

  • アドレナリンは
    α受容体とβ受容体の両方に作用し、
    特にβ₁・β₂受容体を介した作用が重要です。
  • 主な作用をまとめると、次のようになります。
作用部位・代謝主な受容体主な作用
心臓β₁心拍数↑、心筋収縮力↑、心拍出量↑
気管支β₂気管支平滑筋弛緩 → 気管支拡張
糖代謝α・βグリコーゲン分解↑、糖新生↑ → 血糖値↑
脂質代謝β脂肪分解↑ → エネルギー源を確保
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アドレナリンは
心臓や呼吸器の働きを高める
とともに、血糖値を上昇させ、
脂肪分解を促進することで、
緊急時に必要なエネルギーを
確保します。

ノルアドレナリン

  • ノルアドレナリンは、
    特にα₁受容体への作用が強く、
    血管平滑筋を収縮させます。
  • その結果、
    血管収縮→ 末梢血管抵抗↑→ 血圧↑
    となります。
  • また、β₁受容体を介して心臓にも作用します。
  • 一方、β₂受容体への作用は
    アドレナリンと比べて弱いため、
    アドレナリンでみられるような
    気管支拡張作用は強くありません。
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アドレナリンとノルアドレナリンの
主な違いをまとめると、
次のようになります。

アドレナリンノルアドレナリン
主な分泌・放出部位副腎髄質交感神経終末、副腎髄質
主に重要な受容体α、β₁、β₂α₁、α₂、β₁
心臓心拍数・心収縮力↑心臓にも作用
血管血管収縮・一部血管拡張血管収縮作用が強い
気管支気管支拡張作用は比較的弱い
代表的な作用心機能亢進、気管支拡張、血糖↑血管収縮、血圧↑
  • これらの作用によって、
    心臓や骨格筋に
    必要な血液やエネルギーを送り、
    身体を緊急時に対応しやすい状態にします。
  • このような反応を、
    闘争・逃走反応(fight-or-flight response)
    といいます。

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▶︎ 副腎髄質ホルモンと疾患

副腎髄質ホルモンと疾患

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副腎髄質に関連する
代表的な疾患として、
褐色細胞腫があります。

褐色細胞腫

  • 褐色細胞腫は、
    副腎髄質のクロム親和性細胞から発生する
    神経内分泌腫瘍です。
  • 腫瘍から
    アドレナリンやノルアドレナリンなどの
    カテコールアミンが過剰に分泌されることで、
    さまざまな症状が出現します。
  • 代表的な症状には、
  • 高血圧
  • 頭痛
  • 動悸
  • 発汗過多
  • 高血糖

   などがあります。

  • 症状が発作的に現れることもあり、
    高血圧が持続する場合もあります。
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代表的な症状の覚え方は、
『5H』として知られています。

5H症状
Hypertension高血圧
Headache頭痛
Hyperhidrosis発汗過多
Hyperglycemia高血糖
Hypermetabolism代謝亢進

※褐色細胞腫の診断や治療などの詳細は、
 臨床医学の内分泌疾患で解説します。

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副腎と副腎髄質

□ 副腎の構造
 ・外側:副腎皮質
 ・内側:副腎髄質

□ 副腎髄質から分泌されるホルモン
 ・アドレナリン
 ・ノルアドレナリン
 ・いずれもカテコールアミン
 ・アミノ酸のチロシンから合成される
 ・アミン型ホルモンに分類される

□ クロム親和性細胞
 ・副腎髄質に存在
 ・カテコールアミンを合成・分泌
 ・交感神経節前線維による支配を受ける

カテコールアミンの合成

□ 合成経路
  チロシン → L-ドーパ(L-DOPA)
  → ドパミン
  → ノルアドレナリン
  → アドレナリン

□ PNMT
 ・ノルアドレナリンを
  アドレナリンに変換する酵素

□ 副腎髄質
 ・PNMTによりアドレナリンまで合成
 ・分泌されるカテコールアミンは
  アドレナリンが中心

□ 交感神経節後線維
 ・アドレナリンへの変換は
  ほとんど行われない
 ・神経終末から主にノルアドレナリンを放出

カテコールアミンの分泌調節

□ 分泌調節
 ・主に交感神経による神経性調節

□ 分泌までの流れ
  交感神経興奮
  → 交感神経節前線維終末
  → アセチルコリン(ACh)放出
  → クロム親和性細胞を刺激
  → アドレナリン・ノルアドレナリン
   分泌↑

□ 分泌を促進する主な状況
 ・身体的・精神的ストレス
 ・運動
 ・低血糖
 ・血圧低下

アドレナリン・ノルアドレナリンの作用

□ アドレナリン受容体
 ・α₁、α₂
 ・β₁、β₂、β₃

□ β₁受容体
 ・主に心臓
 ・心拍数↑・心収縮力↑・心拍出量↑

□ α₁受容体
 ・主に血管
 ・血管収縮 → 血圧上昇

□ β₂受容体
 ・気管支拡張
 ・一部の血管で血管拡張

□ 肝臓
 ・グリコーゲン分解↑・糖新生↑
  → 血糖値↑

□ β₃受容体
 ・主に脂肪組織
 ・脂肪分解↑

□ アドレナリンの特徴
 ・β₁・β₂作用が目立つ
 ・心機能亢進・気管支拡張
 ・エネルギー代謝を促進

□ ノルアドレナリンの特徴
 ・特にα₁作用が強い
 ・血管収縮・血圧上昇
 ・気管支への作用は弱い

□ 闘争・逃走反応
 ・緊急時に必要な
  血流やエネルギーを確保
 ・fight-or-flight response

副腎髄質ホルモンと疾患

□ 褐色細胞腫
 ・主に副腎髄質のクロム親和性細胞から
  発生する腫瘍
 ・カテコールアミンが過剰に分泌される

□ 主な症状(5H)
 ・Hypertension:高血圧
 ・Headache:頭痛
 ・Hyperhidrosis:発汗過多
 ・Hyperglycemia:高血糖
 ・Hypermetabolism:代謝亢進

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※ 記事作成には正確を期しておりますが、
 内容に誤りや改善点がございましたら、
 お知らせいただけますと幸いです。
 今後の教材作成の
 参考にさせていただきます。

📚 参考文献・参考サイト

本記事の作成にあたり、
以下の文献・サイトを参考にしています。

  1. Khalil B, Rosani A, Warrington SJ. Physiology, Catecholamines. StatPearls. Updated December 11, 2024. NCBI Bookshelf.
    Physiology, Catecholamines|NCBI Bookshelf
  2. Kuhar MJ, Couceyro PR, Lambert PD. Biosynthesis of Catecholamines. In: Basic Neurochemistry: Molecular, Cellular and Medical Aspects. 6th ed. NCBI Bookshelf.
    Biosynthesis of Catecholamines|NCBI Bookshelf
  3. The adrenal gland. Endocrinology. NCBI Bookshelf.
    The adrenal gland|NCBI Bookshelf
  4. Tanabe A, et al. Japan Endocrine Society Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Pheochromocytoma and Paraganglioma 2025. Endocr J. 2026;73(1):115-157.
    日本内分泌学会 褐色細胞腫・パラガングリオーマ診療ガイドライン2025|J-STAGE

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