【循環器疾患】急性冠症候群(不安定狭心症・心筋梗塞)を図解で総整理

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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🔰 この記事について

  • 急性冠症候群(ACS)は、
    冠動脈の急激な閉塞によって生じる
    心筋虚血の総称です。
  • 本記事では、
    不安定狭心症と心筋梗塞の違いを軸に、
  • 病態
  • 症状
  • 診断
  • 合併症
  • 治療

   を図解で整理します。

🔗 関連記事

▶️ 虚血性心疾患(総論)
▶️ 慢性冠症候群(労作性狭心症・異型狭心症)

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🔍 急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome:ACS)

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急性冠症候群(概念・分類)
▶︎ 不安定狭心症
▶︎ 心筋梗塞(概念・症状・診断)
▶︎ 心筋梗塞(合併症・治療)

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概念

  • 冠動脈粥腫(プラーク)破裂する
    などして血栓が形成され、
    冠動脈が急激に閉塞することによって起こる
    一連の疾患群を指します。
  • 冠動脈が急に詰まり
    心筋への血流が途絶するため、発症は突然で、
    生命に関わる重篤な病態となります。
  • ACSは
    虚血性心疾患の中でも急性発症型に分類され、
    胸痛や呼吸困難などの症状を伴い、
    速やかな診断と治療が必要です。

分類

  • 急性冠症候群(ACS)は、
    冠動脈の閉塞の程度心筋壊死の有無により、
    次のように分類されます。
分類病態の概要特徴
不安定狭心症冠動脈が
一時的に閉塞し、
虚血は生じるが
心筋壊死はない
胸痛が安静時にも
出現・増悪し、
発作頻度が上昇する
心筋梗塞冠動脈が
持続的に閉塞し、
心筋壊死が生じる
血清トロポニン上昇、
心電図変化
(ST上昇/非上昇)
を伴う
  • 心筋梗塞はさらに次の2型に分けられます。
心筋梗塞の型特徴主な所見
ST上昇型
心筋梗塞
(STEMI)
冠動脈が完全閉塞し、
広範な心筋壊死を起こす
ST上昇
トロポニン上昇
非ST上昇型
心筋梗塞
(NSTEMI)
冠動脈が部分閉塞し、
限局性の心筋壊死
ST低下
またはT波陰転・
トロポニン上昇
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

試験で「心筋梗塞」とあれば、
基本は ST上昇型(STEMI) のこと。
非ST上昇型(NSTEMI)は
比較的新しい分類で、
ACSの一つとして押さえましょう。

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急性冠症候群(概念・分類)
▶︎ 不安定狭心症
▶︎ 心筋梗塞(概念・症状・診断)
▶︎ 心筋梗塞(合併症・治療)

不安定狭心症(Unstable angina:UA)

  • 冠動脈内に形成された血栓
    プラークの破綻によって
    冠血流が急激に低下し、
    発作が不安定になります。
  • これまで
    一定の条件でのみ起こっていた胸痛が、
  • 発作頻度の増加
  • 持続時間の延長
  • 安静時発作の出現
    などを示すのが特徴です。
  • 胸痛発作は数分~20分程度と、
    そのときによって持続時間が異なります。
  • 心筋壊死はまだ生じていませんが、
    心筋梗塞へ移行するリスクが高い
    危険な病態です。
プラーク破裂と血栓形成により冠動脈が閉塞し、不安定狭心症が発症する流れを示す図。
図1:不安定狭心症の発症機序
冠動脈内のプラークが破裂し、
血栓が形成されて血管が閉塞する過程を示す。
冠血流が急激に低下して不安定狭心症を引き起こす。
Created with BioRender.com(ラベル追記:筆者)

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急性冠症候群(概念・分類)
▶︎ 不安定狭心症
▶︎ 心筋梗塞(概念・症状・診断)
▶︎ 心筋梗塞(合併症・治療)

心筋梗塞(Myocardial infarction:MI)

  • 冠動脈が血栓などで完全に閉塞し、
    心筋への血流(冠血流)が途絶することで、
    心筋組織が壊死に陥った状態をいいます。
  • 虚血性心疾患の中でも最も重症な病態であり、
    早期治療が生命予後を大きく左右します。
冠動脈の閉塞によって血流が止まり、心筋壊死を起こしている心筋梗塞の模式図。
図2:心筋梗塞の発生
冠動脈の完全閉塞により血流が途絶し、心筋が壊死する様子を示す。
虚血性心疾患の中で最も重篤な状態。
Created with BioRender.com(ラベル追記:筆者)
  • 強い胸痛が20分以上持続し、
    ニトログリセリンでも軽快しない
    のが特徴です。
  • 胸痛は
    圧迫感・締めつけ感・焼けつくような痛み
    として表現され、
    安静でも持続します。
  • 冷汗・呼吸困難・嘔気・不安感などの
    自律神経症状を伴うことが多いです。
  • 高齢者や糖尿病患者では、
    胸痛を全く認めない場合があり、
    これを無痛性心筋梗塞(silent MI)
    または無症候性心筋虚血といいます。
  • 心筋梗塞の診断には、
    心電図検査・血液検査(逸脱酵素)・画像診断
    などを行います。

① 心電図(ECG)

  • 心筋梗塞の診断で最も重要なのが
    心電図検査(ECG)です。
  • 発症からの経過により、
    ST上昇 → Q波出現 → T波陰転
    といった典型的な変化を示します。
  • 以下は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)
    の代表的な経時変化です👇
心筋梗塞の発症から1年後までの心電図変化を示す模式図。
ST上昇、異常Q波、冠性T波などの推移が描かれている。
図3:心筋梗塞における心電図変化の経時的推移
心筋梗塞発症からの時間経過に伴う心電図変化を示す。
発症直後のT波増高、数時間後のST上昇、12時間後の異常Q波出現、
1週間後の冠性T波など、特徴的な経過を時系列でまとめている。
時期主な心電図変化病態の進行
発症直後T波の増高
(テント状T波)
虚血の初期
(再分極異常)
数時間後ST上昇心筋壊死の進行
(外膜側虚血)
約12時間後異常Q波出現壊死領域の形成
(不可逆変化)
約1週間後T波の陰転
(冠性T波)
回復・再分極異常
の持続
数か月後~ST正常化
Q波残存
線維化・陳旧性梗塞
の所見

② 血液検査(心筋逸脱酵素・マーカー)

  • 壊死した心筋細胞から、
    細胞内の成分が血液に放出されます。
  • この血中濃度の上昇が、
    心筋傷害を示す重要な指標になります。
分類マーカー特徴
逸脱酵素クレアチンキナーゼ(CK)
CK-MB
発症後3〜6時間で上昇、
24時間前後でピーク
特異的
マーカー
心筋トロポニンT / I心筋壊死に最も鋭敏で
特異性が高い
早期
マーカー
ミオグロビン
H-FABP
発症早期に上昇し、
診断の補助に用いられる

③ 画像診断

  • 心エコー検査
    壁運動異常や左室収縮障害を確認します。
  • 冠動脈造影(CAG)
    閉塞部位を特定し、
    治療(PCI)の適応を判断します。
  • 心筋シンチグラフィ
    虚血や壊死の範囲を評価します。

👉 循環器疾患の基本的な検査については、
  以下を参照してください。

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急性冠症候群(概念・分類)
▶︎ 不安定狭心症
▶︎ 心筋梗塞(概念・症状・診断)
▶︎ 心筋梗塞(合併症・治療)

  • 心筋梗塞は、
    冠動脈の閉塞により心筋が壊死するため、
    発症後の数日〜数週間で
    さまざまな合併症を起こすことがあります。

不整脈

  • 最も頻度が高い合併症です。
  • 壊死部位の電気的異常により、
    心室性期外収縮・心室頻拍などが出現します。
  • 特に発症24時間以内に多く
    突然死の原因にもなります。

心不全・ショック

  • 壊死によって心筋収縮力が低下し、
    左心不全(肺うっ血)や、
    重症例では心原性ショックを起こします。
  • 重篤な場合は
    血圧低下・意識障害・尿量減少
    などがみられます。
  • その他の合併症には、
    心破裂(心室自由壁破裂・中隔穿孔)
    乳頭筋断裂、心室瘤などがあります。
  • 心筋梗塞の治療では、
    冠動脈の再開通(再灌流療法)
    が最も重要です。
  • 閉塞した冠動脈をできるだけ早く再開通させ、
    壊死範囲を最小限に抑える
    ことが目標となります。

① 初期治療

  • まずは救急現場または病院到着直後に、
    酸素投与鎮痛抗血栓療法
    を中心とした初期対応が行われます。
治療法目的・ポイント
安静・酸素投与心筋への酸素供給を改善
硝酸薬
(ニトログリセリン)
冠動脈拡張と心負荷軽減
(ただしST上昇型では効果限定的
鎮痛薬
モルヒネなど)
強い胸痛や不安感を緩和、
交感神経興奮を抑える
抗血小板薬
アスピリンなど)
血小板の凝集を抑制して、
血栓の拡大を防止
抗凝固薬
(ヘパリンなど)
血液凝固を抑制し、
冠動脈内の血栓形成を抑制
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

心筋梗塞では、
ニトログリセリンは
補助的に使用します。
心筋梗塞の胸痛には、無効です。

② 再灌流療法

  • 冠動脈を再開通させる治療で、
    発症からの時間が生命予後を左右します。
  • できるだけ早く冠動脈を再開通させるため、
    次の治療が行われます。
  • 経皮的冠動脈形成術(PCI)
    カテーテルで閉塞部位を広げる
    (👉 詳細はこちら
  • 冠動脈バイパス術(CABG)
    外科的にバイパスを作成する
    (👉 詳細はこちら
  • 血栓溶解療法(t-PAなど)
    再灌流が難しい場合に薬で血栓を溶かす

⏱ 発症から2時間以内の再灌流が理想とされます。

③ 再灌流後の薬物療法(再発予防)

  • 冠動脈を再開通させた後も、
    再狭窄や再梗塞の予防が大切です。
薬剤作用目的
抗血小板薬血小板の凝集抑制再血栓形成を予防
β遮断薬交感神経の興奮抑制心筋酸素消費量の低下
突然死予防
ACE阻害薬 / ARBRAA系の抑制心リモデリング抑制
(心不全予防)
スタチン系薬コレステロール
合成抑制
LDLコレステロール低下
動脈硬化進展抑制

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急性冠症候群(総論

□ 概念:
  プラーク破綻血栓形成により
  冠動脈が急性閉塞する虚血性心疾患

□ 本質:
  慢性冠症候群との違いは血栓形成の有無

□ 分類:
  不安定狭心症(UA)
  心筋梗塞(MI)
  ・ST上昇型(STEMI)

  ・非ST上昇型(NSTEMI)

不安定狭心症

□ 病態:
  プラーク破綻 → 冠血流の急激な低下

 (心筋壊死なし

□ 心筋マーカー:トロポニン上昇なし

□ 症状:
  安静時軽労作でも出現する胸痛
 (持続20分未満が多い)
□ 経過:
  心筋梗塞へ移行する可能性がある

心筋梗塞

□ 概念:
  冠血流の途絶により心筋壊死を生じた状態

□ 症状:
 20分以上持続する激しい胸痛
 (ニトログリセリン無効

□ 心電図:
  ST上昇(STEMI)

  またはST低下/陰性T波(NSTEMI)

□ 血液検査:
 トロポニン上昇(最も特異的)・CK上昇

□ 合併症:
  不整脈・心原性ショック・心破裂など

□ 初期治療:
  モルヒネ・酸素・硝酸薬・アスピリン

□ 再灌流療法:
 PCI・血栓溶解療法・CABG

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  内容に誤りや改善点がございましたら、
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 今後の教材作成の参考にさせていただきます。

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