【循環器疾患】大動脈弁疾患(大動脈弁狭窄症・大動脈弁閉鎖不全)を図解で総整理

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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🔰 この記事について

  • 本記事では、
    大動脈弁狭窄症・大動脈弁閉鎖不全
    の重要ポイントを図解でわかりやすく
    整理しています。
    (※5択クイズは 別記事 で掲載しています)
  • 大動脈弁疾患の
    概念・原因・病態・症状・検査・治療
    などを短時間で復習できるよう
    コンパクトにまとめました。

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🔍 要点まとめ|大動脈弁疾患(狭窄症・閉鎖不全)

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大動脈弁狭窄症(AS)
▶︎ 概念原因病態症状診断治療
大動脈弁閉鎖不全(AR)
▶︎ 概念原因病態症状診断治療

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大動脈弁狭窄症:Aortic Stenosis (AS)

概念

  • 大動脈弁が狭くなり、
    収縮期左心室から大動脈への血液駆出
    が障害される病態です。

原因

  • 主な原因は以下のとおりです。
  • 弁の石灰化
    加齢・動脈硬化によって起こる。
      最も多い原因。
  • 大動脈二尖弁(先天性)
    → 本来3枚の弁が2枚しかなく、
      若年から狭窄をきたしやすい
  • リウマチ性変化(リウマチ熱の後遺症)

病態

  • 大動脈弁が十分に開かなくなると、
    左心室から大動脈へ血液駆出
    が障害されます。
  • その結果、心拍出量が低下し、
    血圧低下失神・めまいなどを引き起こす
    ことがあります。
  • 左心室は駆出抵抗に対して収縮期圧が上昇し、
    圧負荷により肥大します。
  • 肥大した左心室は拡張不全を起こし、
    左心房圧上昇から肺うっ血へとつながります。
  • 進行すると冠血流が低下し、
    労作時の狭心痛の原因となります。
大動脈弁狭窄症の病態図。大動脈弁が開かず圧負荷が左室肥大・拡張不全、冠血流低下、狭心痛や失神につながる流れ。
図1:大動脈弁狭窄症の病態
大動脈弁が開かず、左室圧負荷により左室肥大・拡張不全をきたし、
心拍出量低下や狭心痛・失神のリスクが生じる模式図。
出典:北海道心臓協会 フリーイラスト集

症状

  • 初期は無症状で経過することが多いです。
  • 病状が進行すると、まず 左心不全 により
    労作時の息切れ(呼吸困難)が出現します。
  • また、左室肥大や冠血流低下により、
    狭心痛がみられることがあります。
    胸が締め付けられるような圧迫感
  • さらに、心拍出量が低下することで
    脳への血流が不足し、
    失神発作めまいが起こることがあります。
  • このとき、遅脈小脈血圧低下
    を伴うこともあります。
  • 重症例では、突然死をきたすこともあります。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

大動脈弁狭窄症は三徴が重要です。
狭心痛・失神・労作時呼吸困難
重症例では突然死のリスクも。

大脈(だいみゃく)

  • 脈が強く跳ねるように触れる
    (bounding pulse)を指します。
  • 多くは
    脈圧(最高血圧-最低血圧)大きい
    場合にみられ、
    以下のような状態で出現します。
    • 大動脈弁閉鎖不全
    • 動脈管開存
    • 動脈硬化 など

小脈(しょうみゃく)

  • 脈が弱く小さく触れる脈を指します。
  • 多くは心拍出量が低下している場合や、
    脈圧が小さい場合にみられ、
    以下のような状態で出現します。
    • 大動脈弁狭窄
    • 心不全 など

速脈(そくみゃく)

  • 脈が急速に立ち上がり、
    急速に消失する状態です。
  • 大脈では、速脈がみられる
    ことがあります。
    ※「頻脈(脈拍数が多い)」とは
      異なる概念です。

遅脈(ちみゃく)

  • 脈がゆっくり立ち上がり、
    ゆっくり消失する
    状態です。
  • 大動脈弁狭窄症では、
    小脈かつ遅脈が特徴的です。
    ※「徐脈(脈拍数が少ない)」とは
    異なる概念です。

診断

心音

  • 収縮期に、胸骨右縁第2肋間を最強点とする
    駆出性収縮期雑音 が聴取されます。
  • 頸動脈へ放散するのが特徴です。
  • また、
    胸壁でスリルを触知することがあります。

心電図

  • 左室肥大の所見がみられます。
  • 進行例では、
    左脚ブロックを伴うこともあります。

心エコー

  • 弁口面積圧較差を評価し、
    重症度を判定します。
  • 診断の中心となる検査です。

治療

内科的治療

  • 心不全に対する薬物療法を行いますが、
    根本的な治療にはなりません。
    👉 詳細は、心不全|治療

外科的治療

カテーテル治療

  • 経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)
    が行われます。
  • 重症の大動脈弁狭窄症
    に対して行われる治療法です。
  • カテーテルを用いて、
    人工弁を大動脈弁の位置に留置します。
  • 2002年にヨーロッパで初めて施行され、
    日本では2013年に保険適用となりました。
  • 従来の外科的人工弁置換術(AVR)では、
    開胸人工心肺を用いる必要があります
    が、TAVIではこれらを行いません。
  • そのため、体への負担が少なく、
    高齢者手術リスクの高い患者にも
    適応可能です。
  • 現在では、
    大動脈弁狭窄症に対する標準的治療
    の一つとなっています。
TAVI用の人工弁と、心臓内の大動脈弁部に留置された人工弁の模式図。
図:TAVIで留置された人工弁
大動脈弁狭窄症に対して用いられる
経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)の人工弁と、
その留置部位を示す模式図。
Created with BioRender.com

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大動脈弁狭窄症(AS)
▶︎ 概念原因病態症状診断治療
大動脈弁閉鎖不全(AR)
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大動脈弁閉鎖不全(大動脈弁逆流症):Aortic Regurgitation (AR)

概念

  • 大動脈弁が完全に閉じなくなることで、
    拡張期に大動脈から左心室へ
    血液が逆流する疾患です。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

Regurgitation逆流 という意味で、
大動脈弁逆流症とも呼ばれます。

原因

  • 主な原因は以下のとおりです。

弁そのものの異常

大動脈(基部)の異常:

講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

マルファン症候群では、
先天的な結合組織異常により
大動脈基部が拡張し、
弁が閉じなくなることで
逆流が生じます。

  • その他、梅毒や膠原病、動脈硬化なども
    原因となることがあります。

病態

  • 大動脈弁が完全に閉じないため、
    拡張期に大動脈から左心室へ
    血液が逆流します。
  • その結果、
    左心室には本来の流入(左心房からの血液)
    に加えて逆流血が流入するため、
    容量負荷がかかります。
  • 容量負荷により左心室は拡大し、
    多くの血液を送り出そうとします。
  • しかし、
    進行すると左心室の拡張期圧が上昇し、
    その影響が左心房へと伝わり、
    左心房圧の上昇をきたします。
  • その結果、肺静脈系に血液がうっ滞し、
    肺うっ血が生じます。
  • さらに進行すると、
    左心室の収縮機能が低下し、
    心不全へと至ることがあります。
大動脈弁閉鎖不全症の病態図。拡張期に大動脈から左室へ逆流し、容量負荷で左室拡大、肺うっ血につながる流れ。
図2:大動脈弁閉鎖不全症の病態
大動脈弁が閉じず、拡張期に大動脈から左室へ逆流が生じ、
左室拡大・肺うっ血をきたす血行動態の模式図。
出典:北海道心臓協会 フリーイラスト集

症状

  • 慢性例では、
    初期は無症状で経過することがあります。
  • 進行すると、左心不全により
    呼吸困難(労作時息切れ)が出現します。
  • また、
    逆流により左心室の拍出量が増加するため、
    動悸を自覚することがあります。
  • さらに、心筋の酸素需要増大により
    狭心痛(胸の圧迫感)がみられる
    こともあります。
  • 身体所見として、
    大脈(脈圧増大)速脈などの
    脈の異常が特徴的です。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

ASと異なり、
ARでは突然死は比較的少ない
とされています。

診断

心音

  • 拡張期に、
    灌水様雑音(拡張早期の漸減性・高調音)
    を聴取します。
    胸骨左縁で聴取されやすいのが特徴です。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

灌水様雑音とは、
水が流れるような音です。
前かがみ(座位前屈)
聴取しやすくなります。

心電図・胸部X線

  • 左心室肥大の所見がみられます。

心エコー

  • 弁の逆流量左心室の拡大を評価し、
    重症度を判定する最も重要な検査です。

治療

内科的治療

外科的治療

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大動脈弁狭窄症(AS)

□ 概念:
  大動脈弁狭窄により、左心室→大動脈への
  血液駆出が障害される疾患

□ 原因:
 加齢による弁の石灰化(最多)
  大動脈二尖弁・リウマチ性

□ 病態:
 左室からの駆出障害
  → 心拍出量↓ → 失神・めまい

  左室圧負荷
  → 左室肥大 → 拡張障害
  → 左房圧上昇 → 肺うっ血(呼吸困難)

  進行すると
  → 冠血流低下 → 狭心痛

□ 症状:
  狭心痛・失神・労作時呼吸困難(三徴)
  重症例では突然死のリスク
 小脈・遅脈

□ 診断:
  心音:駆出性収縮期雑音(頸動脈へ放散)
  ECG・X線:左室肥大
  心エコー:弁口面積・圧較差

□ 治療:
  薬物療法(対症療法)
  外科的治療:AVR
  カテーテル治療:TAVI

大動脈弁閉鎖不全(AR)

□ 概念:
  大動脈弁閉鎖不全により、
  大動脈→左心室への逆流が生じる疾患

□ 原因:
 感染性心内膜炎
  マルファン症候群・大動脈解離 など

□ 病態:
 大動脈からの逆流
  → 左室容量負荷 → 左室拡大

  → 拍出量↑(代償)

  進行すると
  → 左室拡張期圧↑ → 左房圧↑
  → 肺うっ血(呼吸困難)

  さらに進行
  → 収縮機能低下 → 心不全

□ 症状:
 初期は無症状(慢性例)
  労作性呼吸困難・動悸
  大脈・速脈

□ 診断:
  心音:拡張早期の灌水様雑音(胸骨左縁)
  ECG・X線:左室肥大
  心エコー:逆流量・重症度評価

□ 治療:
  薬物療法(対症療法)・外科的治療:AVR

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