感染症の学習で、まず押さえておきたい「日和見感染」や「感染経路」「血液所見」「ワクチン」などの基本項目。
この記事では、国家試験や授業でもよく問われる感染症の総論を、5択問題形式で効率よく復習できます。
「不顕性感染と日和見感染の違いって?」「五種混合ワクチンに含まれるのは?」「ウイルス感染で増える白血球は?」など、間違えやすいポイントも丁寧に解説。
知識を整理したい方、スキマ時間に学習したい方にもぴったりの内容です。
この記事でわかること
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問:正しいのはどれか。
- 病原体に感染したにもかかわらず、症状が出ていない状態を日和見感染という。
- 細菌感染では、好塩基球が増加することが多い。
- ウイルス感染では、リンパ球が増加することが多い。
- 四種混合ワクチンには、結核、百日咳、破傷風、ポリオが含まれる。
- 結核、麻疹、風疹は、空気感染する。
解答
正しい記述は、3 です。
解説
- 病原体に感染したにもかかわらず症状がでていない状態は、不顕性感染といいます。日和見感染は、通常病気をおこさないような弱病原性の病原体の感染でも、感染症を発症してしまう状態です。
※ 日和見感染を起こす病原体をポイントで表にまとめています。 - 細菌感染では、白血球のうち好中球が増加することが多いです。
- 正解の記述です。
- 現在、実用化されている四種混合ワクチン(DPT-IPV)は、ジフテリア(Difteria)、百日咳(Pertussis)、破傷風(Tetanus)、ポリオ(Polio)の混合ワクチンです。
尚、IPV は不活化ポリオワクチン(Inactivated Polio Vaccine)の略称です。また、結核のワクチンは、BCG(ウシ型弱毒結核菌)です。
※ 追記:2024年4月からこれまでの四種混合ワクチンにHibが追加され、五種混合ワクチンとなっています(ポイント参照)。 - 空気感染する感染症は少なく、代表的な感染症は、結核、麻疹、水痘です。風疹は飛沫感染です。飛沫感染する感染症は多く、インフルエンザや風邪症候群など身近なものも含まれます。
※ 空気感染と飛沫感染の違いは、ポイントにまとめています。
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“infection_basic_quiz” をダウンロード infection_basic_quiz-1.pdf – 51 回のダウンロード – 573.40 KB🔍 感染症の基礎知識|ポイントまとめ
日和見感染する感染症
日和見感染する病原体を以下に示します。
| 薬剤耐性菌 | 抗菌薬が効かない菌。 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)など |
| 細菌 | 緑膿菌、セラチア、クレブシエラ、エンテロバクター、結核菌など |
| 真菌 | カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス、ニューモシスチスなど |
| ウイルス | ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルスなど |
病原体の種類については、以下を参照してください。
感染症の血液所見
感染症の血液検査では白血球の異常がみられます。
白血球の種類には好中球、好塩基球、好酸球、単球、リンパ球がありますが、増加する白血球の種類は感染した病原体の種類によって異なります(以下の表を参照)。
| 感染病原体 | 増加する白血球の種類 |
|---|---|
| 細菌 | 好中球 |
| ウイルス | リンパ球 |
| 寄生虫 | 好酸球 |
ワクチン
ワクチン(予防接種)は感染症の予防に用いられ、定期接種と任意接種があります(以下の表を参照)。
| 定期接種 | 『予防接種法』に基づくもの。 乳児(1歳未満)の頃から打つものが多く、努力義務(できれば受けてね) となっているため、無料のものが多い。 ただし、対象年齢を外れた場合は任意接種となる。 |
| 任意接種 | 打ちたい人だけが打つもの。 |
定期接種は、さらにA類とB類に分けられます。
定期接種(A類)は誰もが受けるべき予防接種で、公費負担です。
定期接種(B類)は、高齢者や免疫不全など特定の疾病がある場合に一部公費負担で接種できるものになります。
現行の定期接種、任意接種は以下の通りです。
| 定期接種(A類) | 五種混合(DPT-IPV-Hib:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hib)、 小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、BCG(結核)、 MR混合(麻疹、風疹)、水痘、日本脳炎、HPV(子宮頸癌) |
| 定期接種(B類) | インフルエンザ、成人用肺炎球菌(いずれも高齢者が対象) |
| 任意接種 | 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、インフルエンザ、A型肝炎、髄膜炎菌、 新型コロナ |
また、ワクチンの種類には生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドがあります(以下の表を参照)。
| 生ワクチン | 様々な方法で病原体の病原性を弱めたもの。 |
| 不活化ワクチン | 病原体を殺菌もしくは不活性化して感染性をなくしたもの。 |
| トキソイド | 細菌の外毒素を無毒化したもの。 |
空気感染と飛沫感染の違い
空気感染
- 空気感染は、さらに飛沫核感染、塵埃(じんあい)感染、(エアロゾル感染)にわけられます。
- 飛沫核感染は、水分が蒸発した病原体を含む小さな粒子(飛沫核)による感染です。水分を含む飛沫(しぶき)に比べて軽く、小さいため、広がりやすいという特徴があります。
- 飛沫核感染するものは少なく、結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)が代表的です。
※ 塵埃感染とエアロゾル感染は教科書に載っていないため、診療情報管理士の認定試験には出題されないと思いますが、追加で説明します。
- 塵埃感染は、病原体がチリやホコリにくっついて拡散されるもので、これもチリ、ホコリと共に拡散しやすいという特徴があります。代表的な感染症は、レジオネラ症、オウム病です。
- エアロゾル感染は、飛沫(咳やくしゃみで出るしぶき)より小さく、飛沫核より大きいものによる感染ですが、厳密な定義はないようなので、今回は省略します(試験にはでないと思われるため)。
飛沫感染
- 飛沫感染は、病原体を含む飛沫(咳やくしゃみで飛ぶしぶき)を吸入することにより感染するものです。
- 飛沫は水分を含んでいるため重たく、遠くまで飛んでいくことはありませんし、マスクで予防できる場合が多いです。
- インフルエンザや一般的な風邪など飛沫感染する感染症は多く、呼吸器症状が出現することが多いです。
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