🧠 苦手な「ホルモン」も、クイズで楽しく攻略!
生理学の中でも「ホルモン」は、覚えることが多く、苦手意識を持つ学生が多い分野です。
本シリーズ【内分泌】では、クイズ形式で楽しく理解を深め、記憶の定着をサポートします。
今回のテーマは「視床下部−下垂体ホルモン」!
本記事では、以下のホルモンを中心に、要点をわかりやすく整理しました。
📘 対象読者と活用シーン
診療情報管理士(基礎・医学編)の「第2章 人体構造・機能論」で出てくるホルモンの概要を確認できるだけでなく、
「第6章 臨床医学各論Ⅲ(内分泌疾患)」の理解を支える基礎知識も含まれています。
そのため、本記事は以下のような方にもおすすめです:
📝 クイズの活用方法
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📌 クイズ復習ガイド|視床下部・下垂体の要点整理 を先に読んでから挑戦してもOK!
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掲載している5択クイズは、PDF形式でのダウンロードも可能です。
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また、講師の方の授業資料としてもご活用いただけます。
学生の理解をサポートする補助教材として、授業や小テストにも役立ててください。
🖊️ クイズで覚える!視床下部・下垂体ホルモン
問1:ホルモンについて、正しいのはどれか。
- GnRHは、ACTH放出ホルモンである。
- LHは、下垂体前葉から分泌される。
- PRLは、視床下部から分泌される。
- TRHは、下垂体前葉から分泌される。
- GHは、下垂体後葉から分泌される。
解答
正しい記述は、2 です。
解説
- 誤り。GnRHはゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)放出ホルモンであり、FSHおよびLHの分泌を促進します。
ACTHの分泌を促進するホルモンは、CRH(副腎皮質刺激放出ホルモン)※です。
※CRHはコルチコトロピン放出ホルモンとも呼ばれます。 - 正しい記述です。
LH(黄体形成ホルモン)は、下垂体前葉から分泌され、性腺(卵巣や精巣)の機能を調節します。 - 誤り。PRL(プロラクチン)は、下垂体前葉から分泌され、乳腺の発達や乳汁分泌を促します。
- 誤り。TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)は視床下部から分泌され、下垂体前葉に作用してTSH(甲状腺刺激ホルモン)の分泌を促進します。
- 誤り。GH(成長ホルモン)は、下垂体前葉から分泌されます。
下垂体後葉からは、オキシトシンやバソプレッシン(抗利尿ホルモン)が分泌されます。
問2:ホルモンについて、正しいのはどれか。
- 甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺から分泌される。
- 成長ホルモンは、血糖低下作用をもつ。
- ACTHは、コルチゾールの分泌を促進する。
- FSHは、黄体形成ホルモンである。
- プロラクチンは、性腺機能を亢進する。
解答
正しい記述は、3 です。
解説
- 誤り。甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、下垂体前葉(下垂体前部)から分泌されます。
甲状腺から分泌されるのは、主に甲状腺ホルモン(T3、T4)です。 - 誤り。成長ホルモン(GH)は、血糖値を上昇させる作用を持ちます。
GHは、インスリン感受性の低下や糖新生促進により、血糖値を上昇させます。 - 正しい記述です。
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)は下垂体前葉から分泌され、副腎皮質に作用してコルチゾールの分泌を促進します。 - 誤り。FSHは卵胞刺激ホルモンで、卵胞の成熟を促進します。黄体形成ホルモンは、LHです。
- 誤り。プロラクチン(PRL)は性腺機能を抑制します。
具体的には、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を抑制し、結果としてゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン:LHとFSH)の分泌を減少させ、性腺の機能を抑制します。
問3:ホルモンについて、正しいのはどれか。
- 抗利尿ホルモンは、視床下部で合成される。
- バソプレッシンは、子宮収縮作用をもつ。
- ADHは、血糖上昇作用をもつ。
- オキシトシンは、副腎皮質から分泌される。
- オキシトシンは、血中Ca濃度を上昇させる。
解答
正しい記述は、1 です。
解説
- 正しい記述です。
抗利尿ホルモン(ADH)、別名バソプレッシンは、視床下部で合成され、軸索輸送により下垂体後葉に送られて、そこから血中に分泌されます。 - 誤り。バソプレッシン(ADH)は主に水の再吸収に関与し、体内に水分を保持させます。
子宮収縮作用はオキシトシンの主な役割です。オキシトシンは、分娩時の子宮収縮や授乳時の乳腺からの乳汁分泌(射乳)を促進します。 - 誤り。ADHの主な機能は水分保持であり、血糖値の調節には直接関与しません。
血糖値の上昇には、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどが関与します。 - 誤り。オキシトシンは視床下部で合成され、下垂体後葉から分泌されます。
副腎皮質はコルチゾールやアルドステロンなどを分泌します。 - 誤り。オキシトシンの主な作用は、子宮収縮や射乳作用です。
血中カルシウム濃度の調節には、パラトルモン(PTH)やカルシトニン、ビタミンDが関与します。
問4:ホルモンについて、正しいのはどれか。
- ストレスは、ACTHの分泌を抑制する。
- ドパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。
- 成長ホルモンが過剰になると、色素沈着を起こす。
- FSHは、排卵誘発作用を持つ。
- バソプレッシンは、血漿浸透圧低下により分泌が促進される。
解答
正しいのは、2 です。
解説
- 誤り。ストレスは、ACTHの分泌を促進します。具体的には、ストレスにより視床下部からのCRHの分泌が促進され、その結果、下垂体前葉からのACTHの分泌が増加します。ACTHは副腎皮質に作用して、コルチゾールの分泌を高めます。これがストレス応答の一環です。
- 正しい記述です。ドパミンは、プロラクチン抑制因子(PIF)として機能します。
視床下部から分泌されたドパミンは下垂体前葉に作用し、プロラクチンの分泌を抑制します。 - 誤り。 色素沈着を起こすのは、ACTHの過剰によるものです。
ACTHにはMSH(メラノサイト刺激ホルモン)様作用があるため、副腎皮質機能低下症(アジソン病など)で色素沈着がみられます。
成長ホルモン(GH)自体にこの作用はありません。 - 誤り。排卵誘発作用はLHによるものです。FSHの主な作用は卵胞の発育です。
- 誤り。バソプレッシンは、血漿浸透圧上昇により分泌が促進されます。
水分が不足したときなどに、血液の濃度(浸透圧)が高くなると、視床下部の浸透圧受容体がそれを感知し、バソプレッシンの分泌が増加します。
📌 クイズ復習ガイド|視床下部・下垂体の要点整理
視床下部のホルモン
- 視床下部から分泌されるホルモンは、下垂体前葉ホルモンの分泌をコントロール(促進または抑制)しています。
- 以下は、視床下部から分泌され、下垂体前葉に作用してホルモンの分泌を促進する代表的な放出ホルモン(Releasing Hormone:RH)です。
視床下部ホルモン | 略称 | 下垂体前葉での作用 |
---|---|---|
成長ホルモン放出ホルモン | GRH | 成長ホルモン(GH)の分泌促進 |
プロラクチン放出ホルモン | PRH | プロラクチンの(PRL)の分泌促進 |
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン | TRH | 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌促進 |
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン | CRH | 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌促進 |
ゴナドトロピン放出ホルモン | GnRH | 性腺刺激ホルモン(FSH、LH)の分泌促進 |

”〜放出ホルモン(〜Releasing Hormone:〜RH )”と名のつくホルモンは、すべて視床下部から分泌されると覚えておきましょう!
- 以下のホルモンは、視床下部から分泌され下垂体前葉からのホルモン分泌を抑制します。
視床下部ホルモン | 作用 |
---|---|
ソマトスタチン | 成長ホルモンの分泌を抑制する。 |
ドパミン | プロラクチンの分泌を抑制する。 |
下垂体前葉のホルモン
- 下垂体前葉からは、以下のホルモンが分泌されます。
- 成長ホルモン(GH)
- プロラクチン(PRL)
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
- ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン):FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)
成長ホルモン(GH)
分泌調節
- GRH(GHRH)により分泌が促進され、ソマトスタチンにより抑制されます。
- 睡眠初期に分泌が増加し、加齢とともに低下します。

作用
①代謝作用
- 肝臓において糖新生(アミノ酸や脂肪などからのグルコース合成)を促進し、血糖値を上昇させます。
- 脂肪分解を促進し、血中遊離脂肪酸濃度を上昇させます。
- 腎尿細管でのNa⁺再吸収を促し、結果的に循環血液量の増加→血圧上昇につながります。

遊離脂肪酸は、肝臓や筋肉でエネルギー源として利用されます。
また、Naが再吸収されるときに水分も一緒に再吸収されるため、血液量が増加します。
そのため、GH過剰では血圧が上昇します。
②成長促進作用
- 骨端骨形成促進作用や蛋白合成促進作用を持ちます。

成長ホルモンは、身長を伸ばしたり、筋肉を大きくするホルモンと覚えておきましょう。
分泌異常症
- 成長期(骨端線閉鎖前)に分泌が過剰になると下垂体性巨人症、成長後(骨端線閉鎖後)に分泌が過剰になると先端巨大症を引き起こします。
- 分泌低下症として、成長ホルモン分泌不全性低身長があります。本疾患では知能の発達は正常です。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
分泌調節
- 視床下部から分泌される 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により、下垂体前葉からのTSH分泌が促進されます。
- 一方で、血中の甲状腺ホルモン(T3、T4)の濃度が上昇すると、これらが視床下部や下垂体に作用してTSHの分泌を抑制します(負のフィードバック機構)。
作用
- 甲状腺に作用して、T3およびT4の合成・分泌を促進します。
- また、甲状腺濾胞細胞の増殖や甲状腺の形態・重量の維持にも関与します。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
分泌調節
- 視床下部から分泌されるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)により、下垂体前葉からのACTH分泌が促進されます。
- 一方、血中コルチゾール濃度が上昇すると、負のフィードバックによりCRHとACTHの分泌が抑制されます。
- ストレスや低血糖、炎症などの刺激は、CRH分泌を促進する要因です(その結果、ACTHの分泌が増加します)。
作用
- ACTHは副腎皮質(とくに束状帯)に作用して、糖質コルチコイド(主にコルチゾール)の合成・分泌を促進します。
- また、高濃度のACTHはMSH(メラノサイト刺激ホルモン)様の作用を示し、メラニン合成を促進するため、皮膚の色素沈着を引き起こすことがあります。
分泌異常
- 下垂体腺腫によりACTHが過剰分泌されるとコルチゾール分泌が増加し、クッシング病を引き起こします。

クッシング病はクッシング症候群(コルチゾール過剰症)の一つです。
同義ではないので注意しましょう。
クッシング病ではACTHが過剰となるため、メラニン合成が促進され、症状として色素沈着を引き起こします。
クッシング症候群の原因には、「下垂体腺腫(=クッシング病)」「副腎腺腫」「ステロイド薬の長期投与」などが含まれます。
性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
- 性腺刺激ホルモンには、FSHとLHがあります。
分泌調節
- 視床下部から分泌されるGnRHにより、下垂体前葉からFSHおよびLH(=ゴナドトロピン)の分泌が促進されます。
- 性腺から分泌されるエストロゲン・テストステロンなどは、GnRHおよびゴナドトロピン分泌を抑制する負のフィードバック機構として働きます(図左)。
- ただし、女性では排卵直前にエストロゲン濃度が急上昇すると、GnRHおよびLHの分泌が一時的に促進される正のフィードバックが起こります(図右)。

作用
①FSH
- 女性では、卵胞刺激ホルモンと呼ばれ、卵胞の発育を促進します。
- 男性では、精子形成ホルモンと呼ばれ、精巣の発育や精子形成を促進します。
②LH
- 女性では、黄体形成ホルモンと呼ばれ、成熟卵胞からのエストロゲン分泌促進作用、排卵誘発作用、黄体形成促進作用、黄体からのエストロゲン、プロゲステロンの分泌促進作用などを持ちます。
- 男性では、間質細胞刺激ホルモンと呼ばれ、テストステロンの分泌促進作用を持ちます。

問題に出題されるのは、FSH:卵胞刺激ホルモン、LH:黄体形成ホルモンなので、女性の場合をメインで覚えておいてください。
プロラクチン
分泌調節
- プロラクチンの分泌は、視床下部からのドパミンによって常に抑制されています。
- 一方、プロラクチン放出ホルモン(PRH)やエストロゲン、乳頭刺激(吸啜刺激)などにより、プロラクチンの分泌が促進されます。
- 妊娠・授乳期にはこれらの刺激により、プロラクチン分泌が大きく上昇します。
作用
- 妊娠期には、乳腺の発育(乳管や腺房細胞の発達)を促進します。
- 出産後は、乳汁の産生を促進します(射乳はオキシトシン)。
- 高プロラクチン状態では、GnRH分泌が抑制され、結果としてFSH・LHが低下するため、性腺機能が抑制されます。
分泌異常症
- 分泌過剰症として、高プロラクチン血症があります。
- 高プロラクチン血症では、乳汁漏出や無月経などの症状がみられます。
下垂体後葉のホルモン
- 下垂体後葉から分泌されるホルモン(オキシトシン・バソプレッシン)は、視床下部の神経細胞(の細胞体)で合成されます。
- 合成されたホルモンは、神経細胞の軸索を通って下垂体後葉に輸送され、神経終末から血中へと分泌されます。
- このように、神経細胞で合成されたホルモンが血中に放出される仕組みを、神経内分泌(neurosecretion)と呼びます。

バソプレッシン(AVP)/ 抗利尿ホルモン(ADH)
分泌調節
- 血漿浸透圧増加、循環血漿量減少、血圧低下などにより、分泌が促進されます。
- アルコールによって分泌が抑制されます。

お酒を飲むとトイレが近くなる理由の一つは、バソプレッシンの分泌が抑制されるからです。
作用
- 腎集合管における水の再吸収を促進し、体内に水分を保持します(体液量は増加し、浸透圧が低下します)。その結果、尿量が減少します。
- 大量では末梢血管収縮により血圧を上昇させます。


体液量が減少すると血漿中の相対的にNa+濃度が増加して浸透圧が上昇します。
浸透圧は、溶液中の溶質(この場合Na+)が水を引きつける力です。
このような時にADHの分泌が増加して体内に水分を保持し、Na+濃度を低下させて浸透圧を低下させます。
“体液が濃くなるとADHが分泌され、体液を薄める”と考えると理解しやすいかもしれません。
分泌異常症
- 下垂体後葉からの分泌が低下すると、(中枢性)尿崩症を引き起こします。
- 尿崩症はADHの作用不足により、多尿になる疾患です。
📚 補足
オキシトシン
分泌調節
- 妊娠、分娩(子宮頸管の伸展)、授乳(乳頭吸引刺激)などで分泌が増加します。
作用
- 乳腺腺房の平滑筋の収縮により、乳汁分泌を促します。これを射乳作用といいます。
- 子宮平滑筋を収縮させ、陣痛を誘発します。

プロラクチンは「乳汁を作る」ホルモン、オキシトシンは「乳汁を出す」ホルモンです。
赤ちゃんが乳頭に吸い付くと、オキシトシンが分泌されて乳腺の筋肉が収縮し、乳汁が外に押し出されます(射乳反射)。
どちらも授乳には欠かせませんが、役割ははっきりと分かれています。
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🔗7.内分泌④(副腎・性腺・その他)
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