問題
問1:正しいのはどれか。
- 膠原線維と弾性線維は、結合組織に含まれる。
- 膠原線維は、エラスチンでできている。
- コラーゲンは、体内の蛋白質の60%を占める。
- 長管骨では、骨幹に海綿骨が多い。
- 線維軟骨は、軟骨の大部分を占める。
解答
正しい記述は、1 です。
解説
- 正しい記述です。膠原線維および弾性線維は、結合組織の主要な構成要素です。
- 膠原線維は主にコラーゲンというタンパク質で構成されており、エラスチンは弾性線維の主成分です。
- コラーゲンは体内で最も多い蛋白質ですが、体内蛋白質全体の約25~35%を占めるとされています。
- 長管骨の骨幹部は主に緻密骨で構成されており、海綿骨は主に骨端部に多く存在します。
- 人体の軟骨の大部分は硝子軟骨であり、線維軟骨は特定の部位(椎間板、恥骨結合部など)に限られています。
問2:正しいのはどれか。
- 血液は、体重の約1/8を占めている。
- 血液の液体成分を血漿という。
- 血清は、フィブリノーゲンを含む。
- ヒトの体液は、全体重の15%を占める。
- 細胞内液には、ナトリウムが多い。
解答
正しい記述は、2 です。
解説
- 血液量は、体重の約1/13(約7~8%)を占めます。
- 正しい記述です。
- 血清は、血漿からフィブリノーゲンなどの凝固因子を取り除いた部分です。
- ヒトの体液は、全体重の約60%を占めます。
- 細胞内液は主にカリウムが多く、ナトリウムは少ないです。ナトリウムは、細胞外液に多く含まれます。
問3:正しいのはどれか。
- 血球成分は、血液の約45%を占める。
- 赤血球には、アルブミンが含まれる。
- 白血球は、止血機能をもつ。
- アルブミンが低下すると、血漿膠質浸透圧が上昇する。
- グロブリンは、最も多い血漿蛋白である。
解答
正しい記述は、1 です。
解説
- 正しい記述です。成人の血液において、血球成分(主に赤血球、白血球、血小板)は全血液量の約45%を占め、残りの約55%が血漿です。
- 赤血球の主成分はヘモグロビンであり、アルブミンは血漿中に存在する蛋白です。
- 止血機能は主に血小板や血液凝固因子によって行われます。白血球は免疫応答に関与します。
- アルブミンは血漿膠質浸透圧の維持に関与する血漿蛋白です。アルブミンが低下すると、血漿膠質浸透圧は低下し、浮腫などを引き起こします。
- 血漿中で最も多い蛋白はアルブミンで、グロブリンはその次に多い蛋白質です。
問4:正しいのはどれか。
- 体液中の水素イオンが増加すると、pHが上昇する。
- pHが大きいほど、酸性度が強い。
- 動脈血のpH7.45以上はアシデミアである。
- 過呼吸では、呼吸性アルカローシスとなる。
- 嘔吐により胃酸を喪失すると、代謝性アシドーシスになる。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- 水素イオン濃度が増加すると、pHは低下します。
- pHが大きいほどアルカリ性が強くなり、酸性度は弱くなります。
- 動脈血の正常なpHは、7.35~7.45です。動脈血のpHが7.45を超えた状態をアルカレミア(アルカリ血症)といい、アシデミア(酸血症)は、動脈血のpHが7.35より小さい状態をいいます。
- 正しい記述です。過呼吸により二酸化炭素を過剰に排出すると、血液中のCO₂分圧が低下し、pHが上昇して呼吸性アルカローシスが引き起こされます。
- 嘔吐による胃酸(塩酸)の喪失は、体内の酸性物質が減少するため、代謝性アルカローシスを引き起こします。
ポイント
結合組織
- 結合組織は、体内の器官や組織の間の結合や充塡にあずかる線維に富んだ組織で、広義には軟骨組織・骨組織・血液などが含まれます。
- 結合組織は、線維芽細胞、脂肪細胞、免疫細胞などの細胞成分と膠原線維や弾性線維などの線維、それらを満たす細胞外マトリックスから構成されます。
- 膠原線維と弾性線維について、以下に示します。
膠原線維 | コラーゲン※でできている線維。 ※真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを 構成する蛋白質で、ヒトの全蛋白質 の30%を占める。 |
弾性線維 | エラスチンでできている。 コラーゲンの線維を支える役割を持つ。 柔軟でやわらかい。 |
支持組織
- 支持組織は、体内の他の組織や器官を支え、保護する役割を果たす組織の総称で、主に結合組織から構成されます。
- 代表的な支持組織として、骨や軟骨があります。
骨
- 骨は、その形状から長管骨、短骨、扁平骨に分類されます(以下の表を参照)。
長管骨 | 四肢の骨など、中央に骨幹、 両端に骨端を持つ長い骨。 骨端に海綿骨が多く、 骨幹に緻密骨(皮質骨)が多い。 |
短骨 | 手根骨、足根骨など。 微細な動きの補助や、 支持・安定性を提供する。 |
扁平骨 | 頭蓋骨の一部、肋骨、 胸骨、肩甲骨など。 内臓や脳などの重要な部位を 保護する機能を持つ。 |
※ 脊椎の椎骨は複雑な構造を持つため、「不規則骨」に分類されます。
軟骨
- 軟骨は、軟骨細胞とコラーゲン、エラスチンより構成されます。
- 骨端や関節に多く、軟骨基質成分の違いによって以下の3種類に分類されます。
硝子軟骨 | 関節面を覆う関節軟骨や気管を 囲っている気管軟骨など、 最も多い一般的な軟骨のこと。 |
線維軟骨 | 軟骨基質にコラーゲンが含まれる軟骨。 椎間円板、恥骨結合、関節半月 などにみられる。 |
弾性軟骨 | 軟骨基質に弾性線維を含み、 硝子軟骨よりも弾力がある軟骨。 耳介軟骨などにみられる。 |
血液
- 血液は、液体成分である血漿(約55%)と細胞成分である血球(約45%)から構成され、体重の約1/13を占めます。
- 血漿の主成分は水分で、その他、蛋白質や脂質、糖質、無機塩類(NaClなど)などが含まれます。
- 血漿からフィブリノーゲンなどの血液凝固に必要な成分を除いたものを血清と言います。
- 血球は、主に赤血球、白血球、血小板から構成されます。

血球
- 血球は血液中に存在する細胞成分の総称で、主に以下の3種類に分類されます。
赤血球 | 核をもたない。赤色のヘモグロビン(Hb) を多く含み、酸素と結合して運搬する。 |
白血球 | 好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球がある。 主に免疫(感染防御など)に関与する。 |
血小板 | 血管損傷部位に凝集し、止血作用を示す。 |
血漿蛋白
- 血漿蛋白は、血漿中に存在するさまざまな蛋白質の総称で、以下のような種類があります。
アルブミン | 肝臓で合成される 最も多い血漿蛋白(60%)。 膠質浸透圧の維持、 緩衝作用(酸塩基平衡維持)、 物質の運搬などに関与する。 |
グロブリン | α-、β‐、γ‐グロブリンがある。 γ-グロブリンは、IgGなどの 免疫グロブリン(抗体)を含む。 |
フィブリノーゲン | トロンビンによりフィブリンとなり、 血液凝固に関与する。 |
膠質浸透圧
- 血漿蛋白による浸透圧で、主にアルブミン濃度によって決まります。
- アルブミンは蛋白質であり、大きいため血管壁を自由に通過できません。そのため、血管外の水(低分子)が血管内に入ってきます。
- アルブミンが水分を血管内に引き込む力を膠質浸透圧といいます。


管理人
アルブミンは血管外と比べて血管内に多いので、アルブミンを薄めようとして血管外から水が入ってくる、イメージです。
膠質浸透圧は、「アルブミンが水を引きつける力」と覚えておくといいでしょう。
- アルブミンは肝臓で合成されるため、肝硬変など肝障害があると血漿中濃度が低下します。
- また、腎臓の障害などで蛋白尿が出ている場合にも血漿中濃度が低下します。
- アルブミンの濃度が低下すると、膠質浸透圧(アルブミンが水を引きつける力)が低下して血管外に水分が貯留し、浮腫(むくみ)を引き起こします。

体液
- 成人の体液量は、体重のおよそ60%を占めます。
- 体液は、細胞内液(体重の40%)と細胞外液(体重の20%) で構成されます。
- 細胞外液は、血漿(体重の5%)と組織液(間質液)(体重の15%)で構成されます。

- 細胞外液中に多い陽イオンはNa+(ナトリウムイオン)で、多い陰イオンは、Cl−(塩化物イオン)、HCO3–(重炭酸イオン)です。
- 細胞内液中に多い陽イオンはK+(カリウムイオン)、多い陰イオンはHPO4–(リン酸イオン)、蛋白質です(蛋白質は表面がマイナスを帯びているものが多いため、陰イオンとみなしています)。
- 血漿中のイオンは、水分子と同じく血管内外を自由に移動できるため、血漿と組織液における各イオン濃度はほぼ等しくなります。
- 一方、アルブミンなどの蛋白質は血管内にとどまるので、血漿中と組織液中のタンパク濃度は大きく異なります。

pH(水素イオン指数)
- pH(水素イオン指数)は物質の酸性、アルカリ性を表す指標です
- 水素イオン濃度から算出され、pH 0〜14までの数値で表されます。
- pHが小さいほど、水素イオン濃度が高く、酸性度が強いことを意味します。


水素イオンが増加すると酸性になるので、厳密な定義では「酸」そのものではありませんが、水素イオンは「酸」だと考えるとわかりやすいです。
酸塩基平衡異常
- 血液(動脈血)のpHは、7.4 ± 0.05(7.35〜7.45)の範囲に保たれています。
- 酸塩基平衡を酸性にしようとする状態をアシドーシス、アルカリ性にしようとする状態をアルカローシスといいます。
- pH7.35未満の血液をアシデミア(酸血症)、pH7.45より上昇した状態をアルカレミア(アルカリ血症)といいます。


管理人
アシドーシスやアルカローシスは、酸性化およびアルカリ化の過程(プロセス)を意味し、アシデミアやアルカレミアは、それらの結果だと考えてください。
アシデミア(acidemia)、アルカレミア(alkalemia)の接尾辞 ‘〜emia‘ は「〜血症」を意味します。
一方、アシドーシス (acidosis)、アルカローシス (alkalosis)の接尾辞 ’〜osis‘ は、「異常な状態」や「病的な過程」を意味します。
- 酸塩基平衡異常には、以下のような種類があります。
呼吸性 アシドーシス | 呼吸障害によるCO2の排泄不全によって、 血漿中CO2が過剰になる。 |
代謝性 アシドーシス | 体内での過剰な酸の産生や アルカリ(HCO3–)の喪失により生じる。 |
呼吸性 アルカローシス | 過呼吸によるCO2の排泄増加により生じる。 |
代謝性 アルカローシス | 体内の酸(胃酸等)の消失や アルカリの投与によって生じる。 |

管理人
呼吸が原因の場合は「呼吸性」、それ以外の場合は「代謝性」と覚えましょう。
また、二酸化炭素(CO2)は厳密には「酸」そのものではありませんが、増加すると酸性となるので「酸」だと考えるとわかりやすいです。
重炭酸イオン(HCO3–)も一般的な「アルカリ」ではありませんが、増加するとアルカリ性を示しますので、「アルカリ」と考えておくと良いです。水素イオン(H+)を中和してくれるため、体内に過剰な酸(H+)が生じるのを防いでくれます。
コメント