【スピロヘータ・クラミジア・リケッチア】5択クイズで覚える|重要7疾患

4章 感染症

スピロヘータ・クラミジア・リケッチアは、分類や構造が一般的な細菌と異なり、覚えにくいと感じる学生も多い分野です。
特にクラミジアやリケッチアは「細菌なのにウイルスのような性質を持つ」と言われることもあり、混乱しやすいポイントです。

「細菌・ウイルス・真菌・寄生虫の違いを整理しておきたい」という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
👉 【病原体の種類】5択クイズで理解!細菌・ウイルス・真菌・寄生虫の違いを整理しよう

今回は、これらの“変わり種”細菌による感染症について、5択クイズ5問+解答解説つきで確認します。

後半の
📚 感染症まとめ|クイズで登場した疾患を再チェック!
では、原因微生物・症状・感染経路・検査や治療などをわかりやすく整理。
試験前の総復習や、苦手分野の克服にぜひご活用ください!

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学生の理解を助ける補助教材として、お役立ていただけます。

💡感染症の全体像をまとめて確認したい方は、以下のまとめ記事もご活用ください:
👉【保存版】感染症クイズ&解説記事一覧|覚えにくい感染症を一気に攻略!

🖊️ クイズで学ぶ|スピロヘータ・クラミジア・リケッチア

問1:疾患と病原体の組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 回帰熱   ー リケッチア
  2. 日本紅斑熱 ー 原虫
  3. 梅毒    ー ウイルス
  4. オウム病  ー 真菌
  5. 発疹チフス ー リケッチア
解答

 正しい組み合わせは、5 です。

解説
  1. 回帰熱の病原体は、スピロヘータの一種である ボレリア・レカレンティスBorrelia recurrentis)です。リケッチアではありません。
  2. 日本紅斑熱の病原体は、リケッチア科の リケッチア・ジャポニカRickettsia japonica)です。原虫ではありません。
  3. 梅毒の病原体は、スピロヘータである トレポネーマ・パリダム梅毒トレポネーマ)です。ウイルスではありません。
  4. オウム病の病原体は、クラミジア属の クラミジア・シッタシChlamydia psittaci)です。真菌ではありません。
  5. 発疹チフスの病原体は、リケッチア属の リケッチア・プロワゼキRickettsia prowazekii)によって起こるため、正しい組み合わせです。

問2:疾患と病原体の組み合わせで正しいのはどれか。

  1. トラコーマ   ー ウイルス
  2. ライム病    ー リケッチア
  3. ツツガムシ病  ー 原虫
  4. レプトスピラ症 ー スピロヘータ
  5. Q熱      ー クラミジア
解答

 正しい組み合わせは、4 です。

解説
  1. トラコーマの病原体は、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)です。ウイルスではありません。
  2. ライム病の病原体は、スピロヘータの ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)です。リケッチアではありません。
  3. ツツガムシ病の病原体は、リケッチア科のオリエンタ・ツツガムシ(Orientia tsutsugamushi)原虫ではありません。
  4. 正しい組み合わせです。
    レプトスピラ症は、スピロヘータの一種である レプトスピラ・インテロガンスLeptospira interrogans)が原因です。ネズミなどのげっ歯類尿中に存在し、汚染水などを介して感染します。
  5. Q熱の病原体は、以前はリケッチアの一種と考えられていましたが、現在はレジオネラ目の細菌であるとされています。クラミジアではありません。

問3:疾患と媒介動物の組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 日本紅斑熱  ー コロモジラミ
  2. 発疹チフス  ー ネズミ
  3. 回帰熱    ー コガタアカイエカ
  4. ツツガムシ病 ー ノミ
  5. ライム病   ー マダニ
解答

 正しい組み合わせは、5 です。

解説
  1. 日本紅斑熱は、リケッチア・ジャポニカを保有するマダニの刺口により感染します。
    コロモジラミは関与しません。
  2. 発疹チフスは、患者の血液を吸血したコロモジラミPediculus humanus corporis)によって媒介されます。ネズミが関連する感染症には、ペスト(ノミ経由)やレプトスピラ症(尿経由)、ラッサ熱などがあります。ペスト菌はネズミなどのげっ歯類に保有され、それらを吸血したノミがヒトを刺すことで感染します。レプトスピラ菌は、ネズミなどの保菌動物の尿から排泄され、汚染された土壌などと接触することにより感染します。ラッサ熱は、ウイルスを保有するネズミマストミス)からヒトに感染し、ヒトからヒトに感染が拡大します。
  3. 回帰熱は、シラミまたはダニに媒介されるスピロヘータ感染症です。
    コガタアカイエカは、日本脳炎ウイルスを媒介する蚊の一種であり、関係ありません。
  4. ツツガムシ病は、ダニの一種であるツツガムシ(Leptotrombidium属)により媒介されます。
    ノミは関与しません。
  5. 正しい組み合わせです。
    ライム病スピロヘータボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)による感染症で、マダニによって媒介されます。

問4:正しいのはどれか。

  1. 発疹チフスの検査に、ワイル・フェリックス反応が用いられる。
  2. 日本紅斑熱では、抗ストレプトリジンO抗体が陽性となる。
  3. ワイル病は、リケッチア感染症である。
  4. Q熱は、ヒトだけの病気である。
  5. 日本紅斑熱は、1950年代以降国内での発症者は出ていない。
解答

 正しい記述は、1 です

解説
  1. ワイル・フェリックス反応は、リケッチア感染症(発疹チフス、日本紅斑熱、ツツガムシ病など)に対して行われるスクリーニング検査です。
    スクリーニング検査とは、症状のない人を対象に、病気を早期に見つけるための簡易な検査です。
     健康診断やがん検診でよく使われる方法で、病気の「入り口チェック」のような役割をします。
     異常が見つかれば、次に本格的な検査(診断)へ進
    みます。
  2. 抗ストレプトリジンO抗体が陽性となるのは、猩紅熱など溶連菌の感染症です。
  3. ワイル病は黄疸出血性レプトスピラ症で、スピロヘータ感染症です。
  4. Q熱は、人畜共通感染症です。
  5. 日本紅斑熱ではなく、発疹チフスの記述です。日本紅斑熱は、近年増加傾向を示しています。

問5:疾患と症状の組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 日本紅斑熱  ー 盗汗
  2. ツツガムシ病 ー 無痛性の刺し口
  3. 回帰熱    ー 遊走性紅斑
  4. オウム病   ー 結膜炎
  5. ワイル病   ー 肺炎
解答

 正しい組み合わせは、2 です。

解説
  1. 盗汗は病的な寝汗のことで、結核など全身が衰弱するような状態の時にみられます。
    日本紅斑熱では、発熱発疹刺し口(主要三徴候)などがみられます。
  2. 正しい組み合わせです。
    日本紅斑熱と同様、ツツガムシ病の主要な三徴候として、発熱発疹刺し口があり、ほとんどの症例でみられます。刺し口は無痛性黒色痂皮を形成するのが特徴的です。
  3. 遊走性紅斑は、マダニに咬まれた部位が紅斑となり、ゆっくりと拡大していくもので、ライム病でみられます。回帰熱では周期的な発熱と解熱の繰り返しが主症状となります。
  4. オウム病吸入感染によるクラミジア感染症で、軽症であれば風邪症状、重症化すると肺炎症状がみられます。結膜炎は、トラコーマ(クラミジア感染症)でみられます。
  5. ワイル病は黄疸出血性レプトスピラ症で、黄疸出血傾向がみられます。

📚 感染症まとめ|クイズで登場した疾患を再チェック!

スピロヘータ感染症

  • スピロヘータはらせん状グラム陰性菌で、ヒトに病原性を示す菌には以下のようなものがあります。
分類病原体(疾患)
トレポネーマ属梅毒トレポネーマ(梅毒
ボレリア属ボレリア・ブルグドルフェリ(ライム病)、ボレリア・レカレンティス(回帰熱
レプトスピラ属レプトスピラ・インターロガンス [ 黄疸出血性レプトスピラ症(ワイル病)]

回帰熱

  • シラミダニが媒介するスピロヘータ感染症です。
  • 高熱が持続し、その後無熱期有熱期を繰り返す周期熱となります。

ライム病

  • マダニが媒介するスピロヘータ感染症です。
  • 初期症状として、遊走性紅斑があります。

クラミジア感染症

  • クラミジアは細胞内でのみ増殖可能な偏性細胞内寄生菌で、ヒトに感染する菌には以下のようなものが知られています。
代表菌代表疾患
クラミジア・トラコマティスクラミジア結膜炎(トラコーマ)、性器クラミジア感染症
クラミジア・ニューモニエ肺炎クラミジア肺炎
クラミジア・シッタシオウム病
  • 性器クラミジア感染症については、性感染症を参照してください。

オウム病

  • クラミジア・シッタシ吸入感染による人獣共通感染症です(トリからヒトへ感染)。
  • 高熱、頭痛、乾性咳嗽などの非定型肺炎症状を呈し、重症例では肝障害や脾腫、比較的徐脈がみられることもあります。

トラコーマ

  • クラミジア・トラコマティス接触感染により、結膜炎を起こす疾患です。
  • 発展途上国失明の原因となっています。

リケッチア感染症

  • リケッチアは細胞内に寄生しなければ増殖できない小さな細菌で、ダニ、ノミ、シラミなどの節足動物ベクター:運び屋さん)を通じて感染します。
  • 代表疾患とそれぞれのベクターを以下の表に示します。
代表疾患ベクター
発疹チフスコロモジラミ
ツツガムシ病ツツガムシ(ダニの一種)
日本紅斑熱マダニ

発疹チフス

  • シラミによって媒介されるリケッチア感染症です。
  • 患者の血液を吸血したコロモジラミに吸血されることで、感染します。
  • 1~2週間の潜伏期後の稽留熱紅斑性発疹が特徴的です。
  • 重症例では、発疹が点状出血斑となり精神症状(傾眠、錯乱、譫妄など)が出現します。
  • 血清診断として、ワイル・フェリックス反応があります。
  • 1950年代以降、国内での流行はみられていない

ツツガムシ病

  • ダニの一種であるツツガムシを媒介動物とする感染症です(4類感染症)。
  • 悪寒、頭痛、発熱、全身の麻疹様皮疹および黒色痂皮を伴う刺し口(通常は無痛性)などがみられます(発熱、発疹、刺し口が主要三徴候です)。
  • 治療が遅れるとDIC(播種性血管内凝固症候群)を合併し、死因となります。

日本紅斑熱

  • マダニに媒介されるリケッチア感染症で、近年増加傾向にあります。
  • 発熱(38~40℃)後、四肢末端から紅斑が出現し、次第に出血性となります。
  • 特有の刺し口がみられることがあります。
  • ツツガムシ病と同じく、発熱、発疹、刺し口が主要な三徴候です。

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