
高血圧って、ただ血圧が高いだけじゃなくて
病気として扱うんですよね?

(管理人)
そうです。
放っておくと脳や心臓、腎臓に大きなダメージを与えます。
今日は血圧の基礎から確認していきましょう。
🔰 この記事について
本記事は、「解いて覚える」をコンセプトにした血圧の基礎・高血圧症の5択クイズ記事です。
(※詳細な要点解説は別記事にしています)
診療情報管理士の認定試験(基礎・医学編)をはじめ、医療系国家試験の出題範囲を中心に構成しています。
出題対象は以下のとおりです👇
🩺 学習の進め方
この血圧の基礎・高血圧症シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。
おすすめの使い方👇
💡 学習のポイント
📄 PDFダウンロード対応
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講師の方が授業資料や小テスト用としてもご利用いただけます。
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✏️ 5択クイズに挑戦!血圧と高血圧症のポイントをチェック
👇 いきなり問題を解くのが不安な人は、以下の要点解説記事へ
問1:以下のうち、血圧を上昇させるのはどれか。
- 寒冷刺激
- 血管容量の増加
- 心収縮力の低下
- 脱水
- 副交感神経の興奮
解答
血圧を上昇させるのは、1 です。
解説
- 血圧は 血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗で決まります。
- したがって、心拍出量を増やすか、血管抵抗を高めると血圧は上昇します。
- 寒冷刺激により交感神経が興奮し、末梢血管が収縮します。これにより血管抵抗が増加し、血圧が上昇します。
- 血管容量の増加は、血管が拡張することで起こります。この時、血管抵抗が低下するため血圧は低下します。
- 心収縮力が低下すると心拍出量が減少し、血圧は低下します。
- 脱水では循環血液量が減少し、心拍出量が低下するため、血圧は低下します。
- 副交感神経の興奮により心拍数や心収縮力が低下し、心拍出量が減少するため、血圧は低下します。
👉 血圧の基礎知識 については、こちら で詳しく解説しています。
問2:血圧について、正しい記述はどれか。
- 最高血圧は、拡張期血圧である。
- 正常では、肺動脈圧と大動脈圧は等しい。
- 体循環血流量は、肺循環血流量と同じである。
- 平均血圧は、最高血圧と最低血圧の和を2で割って求められる。
- 家庭血圧は、診断に有効でない。
解答
正しい記述は、3 です。
解説
- 誤り。 最高血圧は収縮期血圧のことです。拡張期血圧は最低血圧にあたります。
- 誤り。 正常では、肺動脈圧(約25/10mmHg)よりも大動脈圧(約120/80 mmHg)の方がはるかに高くなります。
- 正しい記述です。 体循環と肺循環は直列関係にあるため、血流量は等しくなります。
- 誤り。 平均血圧は単純に最高血圧と最低血圧の平均ではなく、拡張期血圧に脈圧の3分の1を加えて近似的に求めます(平均血圧 ≒ 拡張期血圧+脈圧×1/3)。
- 誤り。 家庭血圧は診断に非常に有用です。診察室血圧が正常でも家庭血圧が高い仮面高血圧などの発見に役立ちます。
👉 血圧の基礎知識 については、こちら で詳しく解説しています。
問3:高血圧症について、正しい記述はどれか。
- 症候性高血圧症は、本態性高血圧症の中で症状があらわれるものをさす。
- 二次性高血圧は、高血圧症の約75%を占める。
- 本態性高血圧症は、遺伝との関与はない。
- 本態性高血圧症では、症状はほとんどみられない。
- 本態性高血圧症では、タンパク制限が有効である。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- 誤り。 症候性高血圧は二次性(続発性)高血圧のことで、原因が特定できる高血圧を指します。一方、本態性(原発性)高血圧は原因が特定できないものです。
- 誤り。 高血圧症の約80〜90%は本態性高血圧であり、二次性高血圧は約10〜20%程度にすぎません。
- 誤り。 本態性高血圧は遺伝的素因と生活習慣(食塩摂取、肥満、ストレスなど)が複合的に関与して発症します。
- 正しい記述です。 本態性高血圧では、初期には自覚症状がほとんどありません。
しかし、長期間続くと動脈硬化が進行し、脳血管障害・心疾患・腎障害などの合併症が出現します。 - 誤り。 本態性高血圧の食事療法では、塩分制限が基本です。タンパク制限は腎不全時などの特別な場合に検討されます。
👉 高血圧症 については、こちら で詳しく解説しています。
問4:二次性高血圧の原因とならないのはどれか。
- アジソン病
- クッシング症候群
- アルドステロン症
- 腎機能障害
- 妊娠
解答
二次性高血圧の原因とならないのは、1 です。
解説
- アジソン病は副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)の分泌が低下する疾患であり、低血圧を引き起こします。
- クッシング症候群では、コルチゾールの過剰分泌により高血圧が生じます。
👉 コルチゾールについては、【内分泌④】副腎・性腺・その他のホルモン をチェック。 - アルドステロン症では、アルドステロンの過剰分泌により、ナトリウムと水の再吸収が促進され、血圧が上昇します。
👉 アルドステロンについては、【内分泌④】副腎・性腺・その他のホルモン をチェック。 - 腎機能障害は、二次性高血圧の最も頻度の高い原因(約75%)です。高血圧によって腎機能がさらに悪化するという悪循環を生じます。
- 妊娠高血圧症候群などで一時的な高血圧をきたすことがあります。
👉 高血圧症 については、こちら で詳しく解説しています。
問5:腎血管性高血圧について、正しい記述はどれか。
- 高血圧の持続によって起こる腎病変である。
- 腎血管は拡張している。
- 患側の腎が腫大する。
- レニンの分泌が低下している。
- 二次性のアルドステロン症をきたす。
解答
正しい記述は、5 です。
解説
- 誤り。 高血圧の持続によって生じる腎病変は腎硬化症です。
一方、腎血管性高血圧は腎動脈の狭窄による腎血流低下が原因で高血圧をきたします。 - 誤り。 腎血管性高血圧では、腎動脈の狭窄が起こっており、腎血管は拡張していません。
- 誤り。 腎血管狭窄が起こっている側(患側)の腎臓は、血流低下により萎縮します。
対照的に、腎硬化症では通常両側の腎臓が萎縮します。 - 誤り。 腎血管性高血圧では、腎血流が低下するため、腎臓(傍糸球体装置)からのレニン分泌は亢進します。
- 正しい記述です。 腎血管性高血圧では、RAA系(レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系)が過剰に活性化します。その結果、アルドステロン分泌が増加し、高血圧をきたすため、これは二次性アルドステロン症となります。
👉 RAA系については、【泌尿器系】腎臓・膀胱の構造と機能 をチェック
👉 腎血管性高血圧 については、こちら で詳しく解説しています。
問6:血圧とその異常について正しい記述はどれか。
- 血圧は、圧受容器反射により長期的に制御されている。
- 腎硬化症は、自己免疫が原因である。
- 低血圧症は、収縮期の血圧が70 mmHg未満と定義される。
- 起立性低血圧は、自律神経障害が原因となる。
- 本態性低血圧では、症状の有無に関わらず治療を行う。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- 誤り。 圧受容器反射は短期的(瞬時)な血圧調節に働きます。
長期的な血圧調節には、RAA系や腎によるNa・水分の排泄調節が関与します。 - 誤り。 腎硬化症は長期間の高血圧による腎細動脈の硬化が原因です。
- 誤り。 低血圧症に明確な診断基準はありませんが、一般的には収縮期血圧100 mmHg未満を目安とします。
- 正しい記述です。 起立性低血圧は、立ち上がり後に血圧が著しく低下する状態で、自律神経障害、加齢、薬剤(降圧薬など)が原因となります。
- 誤り。 本態性低血圧は、症状がなければ治療の必要はありません。
倦怠感や立ちくらみなどの症状がある場合にのみ、生活指導や薬物療法が検討されます。
👉 血圧とその異常 については、こちら で詳しく解説しています。
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