【循環器疾患】循環器検査(心電図・心エコー・胸部X線など)の基礎を図解で総整理

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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👉 5択クイズで学ぶ!主要症候と検査の基礎

🔰 この記事について

  • 本記事では、
    循環器疾患に用いられる各種検査のポイント
    図解でわかりやすく整理しています。
    (※5択クイズは 別記事 で掲載しています)
  • 循環器疾患の各論を勉強する前
    基礎知識を短時間で復習できるよう
    コンパクトにまとめました。

🖊️ この記事で学べる内容

👇 以下の内容を簡単に復習できます。

  • 心電図検査(ECG)
  • 胸部X線検査
  • 心エコー(超音波検査)
  • CT
  • MRI
  • 心筋シンチグラフィ
  • 心臓カテーテル検査

🩺 学習の進め方

本シリーズは
「5択クイズ編」+「要点解説編」 の2本立てです。

📌 おすすめの学習ステップ

  • まず クイズ で理解度チェック
  • 本記事で知識を整理
  • もう一度クイズに挑戦して定着

🎯 こんな人におすすめ

  • 試験前に効率よく復習したい方
  • 重要ポイントを短時間で整理したい方
  • クイズに挑戦する前に基礎を固めたい方
  • 授業資料として活用できる内容を探している講師の方

🔍 要点まとめ|循環器疾患の基本的検査

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  全体像ECGX線心エコーCTMRI心筋シンチ心臓カテーテル

重要ポイントだけ復習したい方はこちら👇

循環器検査の全体像

  • 循環器疾患の診断では、
    さまざまな検査が用いられます。
  • 代表的な検査には、以下のものがあります。
  • 基本的検査:心電図や胸部X線など
  • 画像検査:心エコーやCT、MRI、心筋シンチなど
  • 侵襲的検査:心臓カテーテルなど
  • これらの検査では、
    心臓の電気活動形態血流冠動脈の状態
    などを評価します。
  • その結果をもとに、
    疾患の診断重症度の判定を行います。
  • 循環器検査の主な種類を、以下にまとめます。
図1:循環器検査の全体像

心電図(ECG;electrocardiogram)

  • 心電図検査は、
    心筋の電気的活動をとらえる基本検査です。
  • 標準的な心電図では、
    12誘導心電図が用いられます。
  • 主な誘導は次の3種類です。
  • 標準肢誘導:Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
  • 単極肢誘導:aVR、aVL、aVF
  • 胸部誘導:V1〜V6
  • 肢誘導では四肢に装着した電極を用い、
    胸部誘導では胸部に配置した電極を用いて記録します。
  • これにより、
    心臓をさまざまな方向から
    電気的に観察することができます。
  • 主に次のような異常の評価に役立ちます。
ベッドに横たわる患者に心電図の胸部誘導と肢誘導の電極を装着したイラスト。
図2:心電図検査の模式図
四肢に装着した電極で肢誘導、
胸部の電極で胸部誘導を記録する様子を示す。
出典:北海道心臓協会「フリーイラスト集」(©北海道心臓協会)
  • ただし、心電図では心臓の形や弁の状態などの
    構造異常を直接観察することはできません。
  • そのため、弁膜症や心筋症などの評価には、
    心エコー検査などの画像検査が用いられます。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

心電図を理解するには、
まず 刺激伝導系 を思い出しましょう。
👉 詳細は【循環器】心臓の構造・働き
で復習できます。

正常心電図波形

  • 心電図では、P波・QRS波・T波などの波形や、
    それぞれの間隔(PR間隔、QT間隔など)
    を評価します。
  • これらの波形は、
    心臓の刺激伝導の流れを反映しています。
  • 代表的な波形と意味を以下に示します。
項目意味
P波心房脱分極(心房興奮)。
PR間隔
(=PQ間隔)
心房から房室結節を経て
心室に電流が伝わるまでの時間
房室伝導時間)。
QRS波心室脱分極(心室興奮)
ST部分心室全体が脱分極している状態(等電位)。
虚血では上昇や低下がみられる
T波心室の再分極(興奮の回復
QT間隔心室の興奮開始から再分極終了までの時間。
心電図波形にPR間隔、ST部分、QT間隔を示した図。
図3:心電図波形と各区間
P波、QRS波、T波に加え、PR間隔、ST部分、QT間隔を示す。
Created with BioRender.com

負荷心電図

  • 負荷心電図では、
    運動によって心臓に負荷をかけながら
    心電図を記録します。
  • トレッドミル(ランニングマシン)や
    エルゴメーター(自転車型運動器)を用いて
    運動負荷をかけ、
    心筋虚血が誘発されるかどうかを評価します。
  • この検査は、労作性狭心症の診断に有用です。
  • 検査中に次のような虚血の兆候がみられた場合は、検査を中止します。
  • 胸痛
  • ST低下
  • 冷汗
  • 強い息切れ など
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

わざと運動させて
心臓に負担をかける検査です。
安静時には症状がなくても、
運動時など心負荷がかかった時
に症状が出る場合があります。

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胸部X線検査

  • 循環器疾患の診断では、
    胸部単純X線検査(胸部X線)
    基本的な検査の一つとして行われます。
  • 主に次のような所見を確認します。
  • 心陰影の大きさや形
  • 大動脈や肺動脈の異常
  • 肺うっ血
  • 胸水の有無
  • これらの所見は、
    心不全などの循環器疾患の診断に役立ちます。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

胸部X線では、心陰影の輪郭を
右に2つ、左に4つの弓(カーブ)
に分けて観察します。

部位解剖学的構造
右第1弓上大静脈(SVC)
右第2弓右心房
左第1弓大動脈弓
左第2弓肺動脈幹
左第3弓左心耳(左心房)
左第4弓左心室
胸部X線画像に、心陰影の右第1弓〜左第4弓の部位を示した図。
図4:胸部X線像における心陰影の弓
右第1弓(上大静脈)、右第2弓(右心房)、左第1弓(大動脈弓)、
左第2弓(肺動脈幹)、左第3弓(左心耳)、左第4弓(左心室)を示す。
出典:Wikimedia Commons “Normal posteroanterior (PA) chest radiograph (X-ray).jpg” (CC0 1.0 Public Domain)

心エコー

  • 心エコー検査は、超音波を用いて
    心臓の構造や動きを観察する検査です。
  • 超音波を胸壁に当て、その反射波(エコー)
    を画像として描出します。
  • 主に次のような項目を評価できます。
  • 心臓弁の形態や動き
  • 心筋の厚さや収縮
  • 心腔の大きさ
  • さらに、カラードプラ法を用いることで、
    血流の方向や逆流
    色で表示することができます。
  • そのため、次のような疾患の診断に重要です。
胸壁にプローブを当てて心臓を観察する心エコー検査のイラスト。
図5:心エコー検査
探触子を胸壁にあてて心臓の断面を描出する心エコーの模式図。
右側に心エコー像と心臓断面図を示す。
出典:左=北海道心臓協会「フリーイラスト集」、
右=Patrick J. Lynch & C. Carl Jaffe(CC BY)
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

心エコーは 
非侵襲的(体に負担が少ない) 
ことが大きな利点です。
放射線を使用しないので、
繰り返し安全に検査できます。

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  全体像ECGX線心エコーCTMRI心筋シンチ心臓カテーテル

コンピュータ断層撮影(CT)

寝台に横たわる患者をCT装置で撮影しているイラスト。
図6:CT検査の模式図
患者が寝台に横たわり、
CT装置で体の断面像を撮影する様子を示す。
出典:北海道心臓協会「フリーイラスト集」
  • CT検査は、X線を体の周囲から回転照射して
    断面画像を作成する検査です。
  • 得られたデータを
    コンピュータで再構成することで、
    体の輪切り(断層像を描出する
    ことができます。
  • 現在は、従来の単層CTよりも高性能な
    マルチスライスCT(多列CT)
    が主流となっています。

マルチスライスCT

  • マルチスライスCTでは、1回の撮影で
    複数の断層画像を同時に取得できます。
  • そのため、
    短時間で広範囲を撮影することが可能です。
  • 心臓のように動いている臓器でも
    鮮明な画像を得ることができ、
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

CTは、血管や臓器の形を
詳しく評価できる検査です。

特に大動脈解離肺塞栓症など、
急性の循環器疾患の診断
重要な役割を果たします。

磁気共鳴画像(MRI)

  • MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、
    強力な磁場と電波を利用して
    体内の断面像を描出する検査です。

MRIの特徴

  • 放射線被曝がない
  • 軟部組織(心筋・血管・脳など)の描出に優れる
  • 必要に応じて、
    造影剤(ガドリニウム造影剤など)を使用する
  • MRIは、特に
  • 心筋疾患
  • 大動脈疾患
  • 脳血管疾患
    の評価に用いられます。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

MRIは被曝がないのが大きな利点です。
ただし検査時間が長く
体内に金属(ペースメーカーなど)
があると使用できないこともあります。

MRA(磁気共鳴血管撮影法)検査

  • MRA(Magnetic Resonance Angiography)は、
    血流からの信号を利用して
    血管を描出するMRI技術です。
    ※ angio(血管)+ graphy(画像化)
  • 造影剤を使用しなくても、
    血管を立体的に描出できることが特徴です。
  • そのため、
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

CT血管造影では
造影剤を使用しますが、
MRAでは造影剤を使用せず
血管評価が可能な場合があります。

造影剤は腎機能障害のある患者では
注意が必要なため、
MRAが有用となることがあります。

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心筋シンチグラフィ(心筋シンチ)

  • 心筋シンチグラフィ(心筋シンチ)は、
    放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)
    を静脈から投与し、
    心筋に取り込まれた放射線を検出して
    画像化する検査です。
  • この検査では、
    心筋への血流や心筋の生存能(viability)
    を評価することができます。
  • そのため、
  • 心筋虚血
  • 心筋梗塞の有無や範囲
    を把握することが可能です。
  • また、運動や薬剤で心臓に負荷をかける
    負荷心筋シンチも行われます。
  • 安静時の画像と比較することで、
    狭心症心筋梗塞の診断・重症度評価
    に用いられます。
講師<br>(管理人)
講師
(管理人)

「シンチ」とは、
放射性同位元素(RI)を用いる検査
と覚えておきましょう。

RIは放射線を出す物質のことです。

心臓カテーテル検査

  • 心臓カテーテル検査は、
    カテーテル(細い管)を血管から挿入し、
    心臓まで進めて行う検査です。
  • カテーテルは主に
  • 大腿動脈
  • 橈骨動脈
    などから挿入されます。
  • 場合によっては、大腿静脈などの静脈
    から挿入することもあります。
大腿動脈や橈骨動脈から心臓にカテーテルを進める経路を示したイラスト。
図7:心臓カテーテル検査の挿入経路
大腿動脈または橈骨動脈から
カテーテルを心臓に挿入する経路を示す。
出典:北海道心臓協会「フリーイラスト集」
  • 心臓カテーテル検査では、
    主に次の評価を行うことができます。
  • 心内圧の測定
    (心房圧・心室圧・肺動脈圧など)
  • 冠動脈造影
    (冠動脈の狭窄や閉塞の評価)
  • 血行動態の評価
    (心拍出量、弁逆流、短絡の有無など)
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講師
(管理人)

心臓カテーテル検査は、
冠動脈を直接評価できる検査です。

狭心症や心筋梗塞など
虚血性心疾患の診断や治療(PCI)
に用いられます。

スワン・ガンツ・カテーテル

  • スワン・ガンツ・カテーテルは、
    右心系から肺動脈までカテーテルを進め、
    心腔内圧血行動態を測定する検査です。
  • なかでも
    肺動脈楔入圧(PAWP:pulmonary artery wedge pressure)は
    左心系の状態を評価する指標として重要です。

※楔入圧:
「せつにゅうあつ」または「けつにゅうあつ」と読みます。

測定部位測定される圧
右心房中心静脈圧(CVP)
右心室右室圧
肺動脈肺動脈圧
肺動脈末梢
(バルーン楔入時)
肺動脈楔入圧(PAWP)
=左心房圧・左室拡張末期圧の推定値
スワン・ガンツ・カテーテルが右心房から肺動脈まで挿入され、バルーンを膨張させている図。
図8:スワン・ガンツ・カテーテル検査
右心房から右心室、肺動脈へ進め、
バルーンを膨張させて肺動脈楔入圧を測定する様子。
Created with BioRender.com(一部加筆修正)
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講師
(管理人)

肺動脈楔入圧は
肺動脈末梢で
バルーンを膨らませたときの圧です。

その先は
肺毛細血管 → 肺静脈 → 左心房
へ続くため、
左心房圧を推定できます。

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📝 一目でわかる!循環器検査のチェックリスト

循環器検査の全体像

主な検査
□ 基本的検査:心電図・胸部X線
□ 画像検査:心エコー・CT・MRI・心筋シンチ
□ 侵襲的検査:心臓カテーテル検査

各検査の要点は+をタップして確認してください。

□ 12誘導心電図
  標準肢誘導・単極肢誘導・胸部誘導

□ 主な適応
  不整脈虚血性心疾患
 (※構造異常は直接評価できない)

□ 代表的波形
  P波心房の興奮(脱分極)
  PR(PQ)間隔房室伝導時間
  QRS波心室の興奮
  ST部分:心室全体の興奮(等電位)
  T波:心室の興奮回復(再分極

□ 負荷心電図
  運動負荷で心筋虚血を誘発
  労作性狭心症の診断に有用

□ 主な評価所見
  心陰影の大きさ
  大動脈・肺動脈の異常
  肺うっ血
  胸水

□ 心陰影の弓
  右第1弓:上大静脈(SVC)
  右第2弓:右心房
  左第1弓:大動脈弓
  左第2弓:肺動脈幹
  左第3弓:左心耳(左心房)
  左第4弓:左心室

□ 主な評価:
  心臓弁の形態・動き
  心筋の厚さ・収縮
  心腔の大きさ

□ カラードプラ法
  血流の方向や逆流色をつけて描出

□ 主な適応
  心弁膜症・心不全・心筋症

□ 特徴
  非侵襲的・放射線被曝なし

□ 原理:
  X線を回転照射し断層像を作成

□ 特徴
  血管・臓器の形態評価

□ マルチスライスCT
  複数の断層像を同時取得
  短時間で広範囲を撮影可能

□ 主な適応疾患
  虚血性心疾患(冠動脈評価)
  大動脈疾患(大動脈解離など)
  肺塞栓症
  脳血管疾患(脳出血など)

□ 原理
  強い磁場と電波を利用して
  体内の断面像を描出

□ 特徴
  放射線被曝なし
  軟部組織(心筋・血管・脳)の描出に有用
  必要に応じて造影剤(ガドリニウム)使用

□ 主な適応疾患:
  心筋症・大動脈疾患・脳血管疾患

□ 注意点:
  検査時間が長い
  体内金属(ペースメーカーなど)
がある場合は制限

MRA(磁気共鳴血管撮影)

血流信号を利用して血管を描出
造影剤なしでも血管を立体表示可能
□ 主な対象:
  脳血管疾患・大動脈疾患・冠動脈疾患

□ 原理
  放射性同位元素(RI)を静脈投与して
  心筋への集積を画像化

□ 主な評価
  心筋血流・心筋の生存能(viability)

□ 主な適応
  心筋虚血・心筋梗塞の有無・範囲

□ 負荷心筋シンチ
  運動・薬剤負荷虚血を誘発
  安静時画像と比較して評価

□ 方法
  カテーテルを血管から挿入し心臓へ進める
  主な挿入部位:大腿動脈・橈骨動脈

□ 主な評価
  心内圧測定・冠動脈造影・血行動態

□ 主な適応
  虚血性心疾患・カテーテル治療(PCI

スワン・ガンツ・カテーテル

右心系 → 肺動脈へ挿入
心腔内圧・血行動態を評価

□ 肺動脈楔入圧(PAWP)
 =左心房圧・左室拡張末期圧の推定

□ 主な測定圧
  右心房:中心静脈圧(CVP)
  右心室:右室圧
  肺動脈:肺動脈圧
  肺動脈末梢(楔入):PAWP

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※ 記事作成には正確を期しておりますが、
内容に誤りや改善点がございましたら、
お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。

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