🧠 5択クイズから復習に来た方へ
下のボタンから、要点解説の本文へジャンプできます 👇
🧩 まだクイズを解いていない方は、こちらから挑戦!
👉 【呼吸器疾患】5択クイズで学ぶ!主要症候と検査の基礎
🔰 この記事について
- 本記事は、呼吸器疾患(総論) についての要点解説記事です(※クイズは別記事)。
- 基礎から整理して学びたい方は、この要点解説から読み進めてください。
🖊️ この記事で学べる内容
以下の内容について、特徴や違いのポイントをまとめています。
🩺 学習の進め方
この 呼吸器疾患(総論) シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。
おすすめの使い方👇
- 最初に 5択クイズ に挑戦して理解度チェック
- できなかった部分を、要点解説記事(本記事) でしっかり整理
- 最後にもう一度クイズを解いて、知識を定着
💡 学習のポイント
🔍 出題ポイントのまとめ|呼吸機能検査・その他の検査
🧭 本文内の主要項目へジャンプ
▶ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
▶︎ 換気障害の分類
▶︎ 呼吸器疾患のその他の検査
重要ポイントだけ一気に復習したい方はこちら👇
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
呼吸機能検査(スパイロメトリー)とは
- スパイロメトリーは、スパイロメーターを用いて呼吸機能障害の程度を評価する検査です。
- 測定で得られる呼吸曲線(スパイログラム)から、肺気量分画や肺容量を読み取り、換気障害の有無やタイプ(閉塞性・拘束性など)を判断します。

(管理人)
スパイロメトリーは「検査の名前」、
スパイログラムは「結果の波形」です。
肺気量分画と肺容量
- 肺気量分画は、呼吸の各段階で出入りする空気量を表します。
- 一方、肺容量は、これらの肺気量分画を組み合わせた肺全体の空気量を示します。
- 以下の図で、肺気量分画と肺容量の全体像を確認しましょう。
※図では、青が肺気量分画、赤が肺容量を示しています。

青は肺気量分画(TV・IRV・ERV・RV)、
赤は肺容量(VC・IC・FRC・TLC)を示す。
肺気量分画
| 項目 | 略語 | 定義 | 覚え方・補足 |
|---|---|---|---|
| 1回換気量 | TV | 安静呼吸時に1回の呼吸 で出入りする空気量 | 約 500 mL (成人男性) |
| 予備吸気量 | IRV | 安静吸息の後、 さらに吸い込める吸気量 | 「まだ吸える分」 |
| 予備呼気量 | ERV | 安静呼息の後、 さらに吐き出せる呼気量 | 「まだ吐ける分」 |
| 残気量 | RV | 最大呼息後も 肺内に残る空気量 | スパイロメトリーでは 直接測定不可 |

(管理人)
スパイロメーターで測定できるのは、吸った空気量や吐いた空気量です。
肺内に残って外に出てこない残気量(RV)は測定できません。
肺容量
| 項目 | 略語 | 定義・計算式 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 機能的残気量 | FRC | ERV + RV | 安静呼息後の肺内気体量 |
| 肺活量 | VC | IRV + TV + ERV | 約 3〜4.5 L |
| 全肺気量 | TLC | VC + RV | 肺に入る最大量 |
| 最大吸入量 | IC | TV + IRV | 安静呼息位からの最大吸気量 |

(管理人)
肺活量は、最大呼吸のときに肺に出入りできる空気量で、
その人の「呼吸の予備能力」を含めた最大値を表します。
努力肺活量(FVC)と1秒量・1秒率(FEV₁・FEV₁%)
- 努力呼吸時のスパイロメトリーでは、
どれだけ速く、どれだけ多く息を吐けるかを指標として評価します。 - 代表的なのが 努力肺活量(FVC)・1秒量(FEV₁)・1秒率(FEV₁%) です。
努力肺活量(FVC:Forced Vital Capacity)
- 最大吸気後、できるだけ速く一気に、吐けなくなるまで吐いたときの呼気量です。

(管理人)
肺活量(VC)を「ゆっくり測る」のに対し、
FVCは「一気に吐いて測る」のがポイントです。
1秒量(FEV₁:Forced Expiratory Volume in 1 second)
- 努力肺活量のうち、最初の1秒間に吐き出された空気量です。
1秒率(FEV₁%)
- 1秒量 ÷ 努力肺活量 × 100(%) で求めます。

最大吸気後の努力呼気で、全体がFVC、
最初の1秒間に吐き出された量がFEV₁を示す。
🧭 本文内の主要項目へジャンプ
▶ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
▶︎ 換気障害の分類
▶︎ 呼吸器疾患のその他の検査
換気障害の分類
- スパイロメトリーでは、
1秒率(FEV₁%) と %肺活量(%VC) を用いて、換気障害を分類します。 - まず、1秒率と%肺活量を用いた換気障害の分類を図で確認しましょう。
- 横軸に%肺活量、縦軸に1秒率を示しています。

縦軸に1秒率(FEV₁%)、横軸に%肺活量(%VC)を示し、
正常、閉塞性換気障害、拘束性換気障害、混合性換気障害を区分している。
閉塞性換気障害
- %肺活量は正常(80%以上) である一方、
1秒率(FEV₁%)が低下 します。
拘束性換気障害
- 1秒率(FEV₁%)は正常(70%以上) ですが、
%肺活量(%VC)が低下 します。

(管理人)
閉塞性換気障害は、気道が狭くなっていて「吐き出しにくい」障害、
拘束性換気障害は、肺が十分に広がらず「吸い込みにくい」障害です。
- 1秒率と%肺活量の両方が低下 する場合は、混合性換気障害 と考えます。
- %肺活量は、実測値が予測値に対してどの程度かを示す指標です。
※ 予測肺活量 は、性別・年齢・身長から算出される理論値です。
🧭 本文内の主要項目へジャンプ
▶ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
▶︎ 換気障害の分類
▶︎ 呼吸器疾患のその他の検査
呼吸器疾患のその他の検査
- スパイロメトリーは呼吸機能評価の基本ですが、
病変の部位や重症度を把握するためには、他の検査も併用します。 - ここでは、呼吸器疾患でよく用いられる代表的な検査を整理します。
画像診断
- 呼吸器疾患では、病変の存在や広がりを視覚的に評価するために画像診断が重要です。
- 以下のような検査が行われます。
| 検査 | 特徴・評価できること |
|---|---|
| 胸部X線検査 | 最も基本的な検査。 肺炎、胸水、気胸、心拡大などの評価に用いる。 |
| 胸部CT | 肺野や気道を詳細に評価できる。 間質性肺炎や腫瘍性病変の診断に有用。 |
| 胸部MRI | 縦隔病変や血管病変の評価に用いられることがある。 |
| 気管支鏡検査 | 気道内に内視鏡を挿入して直接観察を行う検査。 気管支肺胞洗浄(BAL)や生検なども行える。 |
| 胸腔鏡検査 | 胸壁に小さな孔を開け、胸腔内に内視鏡を挿入して 直接観察を行う検査。 胸膜病変や肺表面病変の評価、組織採取に用いられる。 |
- 気管支肺胞洗浄(BAL:bronchoalveolar lavage)は、気管支鏡を用いて肺の末梢気道に生理食塩水を注入し、回収した洗浄液を分析する検査です。
- 主に、肺炎の原因検索や間質性肺疾患の診断補助として用いられます。
動脈血ガス分析
- 呼吸障害の程度を数値を用いて、客観的に評価する検査です。
- 動脈血を採取し、血液中のガス成分を測定します。
- 主に以下の項目を評価します。
| 項目 | 略語 | 意味・評価すること | 基準値 (成人・安静時) |
|---|---|---|---|
| 動脈血 酸素分圧 | PaO₂ | 血液中に溶けている酸素量。 酸素化の指標。 | 80~100 mmHg |
| 動脈血 酸素飽和度 | SaO₂ | ヘモグロビンに酸素が 結合している割合。 | 95%以上 |
| 動脈血 二酸化炭素分圧 | PaCO₂ | 血液中の二酸化炭素量。 換気状態の指標。 | 35~45 mmHg |

(管理人)
PaO₂のPは pressure(分圧)、
SaO₂のSは saturation(飽和)を表します。
a はいずれも arterial(動脈)を意味します。
SaO₂ と SpO₂ の違い
- どちらも血液中の酸素飽和度を示しますが、測定方法が異なります。
- ヘモグロビンに結合している酸素の割合を評価し、ほぼ同等の値を示します。
| 項目 | SaO₂(動脈血酸素飽和度) | SpO₂(経皮的酸素飽和度) |
|---|---|---|
| 測定方法 | 動脈血を採血して測定 | パルスオキシメータを 用いて経皮的に測定 |
| 使用機器 | 動脈血ガス分析装置 | パルスオキシメータ |
| 測定部位 | 動脈血 | 指先・耳朶など |
| 特徴 | 正確な評価が可能 | 簡便・非侵襲的 |
- パルスオキシメーターは、指先などに赤色光と赤外光を照射し、その吸収の違いから経皮的に酸素飽和度(SpO₂)を測定する機器です。
- 採血を必要としない
- 非侵襲的で簡便
- SaO₂とほぼ同等の値を示す
ため、呼吸状態のモニタリングに広く用いられます。

(管理人)
SaO₂は採血して正確に測る指標、
SpO₂は簡便に推定する指標です。
🧭 本文内の主要項目へジャンプ
▶ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
▶︎ 換気障害の分類
▶︎ 呼吸器疾患のその他の検査
📝 チェックリストで重要ポイントを一気に確認!
※ 記事作成には正確を期しておりますが、内容に誤りや改善点がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。
🧭 本文内の主要項目へジャンプ
▶ 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
▶︎ 換気障害の分類
▶︎ 呼吸器疾患のその他の検査
💯 疾患名等 の理解度をクイズでチェック!
👇 以下の記事より、5択クイズで理解度を確認できます。
🔗 呼吸器疾患の学習に役立つ関連記事
👇 呼吸器系の基本的な解剖生理を復習したい人はこちら
👇呼吸器疾患の関連記事は 新着記事 を参照してください。



コメント