【循環器疾患】出血性脳血管疾患(くも膜下出血・脳出血)を図解で総整理(要点解説)

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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🔰 この記事について

  • 本記事では、
    出血性脳血管疾患(くも膜下出血脳出血
    の重要ポイントを図解でわかりやすく整理
    しています。
    (※5択クイズは 別記事 で掲載しています)
  • 国家試験や定期試験でよく問われる
    概念・原因・症状・診断・治療のポイントを
    短時間で復習できるようコンパクトにまとめました。
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  • 脳血管疾患の総論虚血性脳血管疾患の詳細は
    以下の記事から復習できます。
  • また、硬膜下血腫についても学習できます。

▶️ 脳血管疾患(総論)と硬膜下血腫
▶️ 虚血性脳血管疾患(脳梗塞)

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本シリーズは
「5択クイズ編」+「要点解説編」 の2本立てです。

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🔍 出題ポイントのまとめ|くも膜下出血・脳出血

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くも膜下出血(SAH)
▶︎ 概念原因症状診断予後合併症治療
脳出血
▶︎ 概念原因分類治療

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くも膜下出血(Subarachnoid Hemorrhage:SAH)

  • くも膜下出血は、
    出血性脳血管疾患の代表的な疾患です。

👉 脳血管疾患の総論は、以下の記事をチェック!

概念

  • くも膜下出血とは、
    脳の表面を走る血管が破れて、
    くも膜下腔に出血が広がる疾患です。
  • 多くは脳動脈瘤の破裂によって発生します。

👉 髄膜の構造については、以下の記事をチェック!

髄膜の構造とくも膜下出血の発生機序を示す図。
硬膜・くも膜・軟膜の3層構造を拡大図で示し、脳表面の動脈瘤が破裂してくも膜下腔に出血が広がる様子を描いている。
図1:髄膜の構造とくも膜下出血の発生機序
髄膜は外側から硬膜、くも膜、軟膜の3層で構成される。
くも膜下出血は、脳表面の動脈瘤の破裂などにより、
くも膜下腔に血液が流出する病態である。
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原因

  • くも膜下出血の原因として、
    主に以下のものが知られています。
  • 特に脳動脈瘤の破裂最も多い原因です。
原因割合・特徴
脳動脈瘤破裂約80%最も多い原因。
中高年女性に多い。
脳動静脈奇形(AVM)約5〜10%。若年者に多い。
その他もやもや病、脳腫瘍、血液疾患など
  • もやもや病は、
    内頸動脈の終末部(ウィリス動脈輪の一部)が、
    原因不明進行性狭窄・閉塞を起こす疾患です。
  • 脳への血流が不足すると、
    それを補うために
    細かい側副血行路(新しい血管)が発達します。
  • この血管網が脳血管造影で
    煙(もやもや)のように見えることから、「もやもや病」と呼ばれています。
  • また、出血型では
    くも膜下出血脳内出血の原因
    となることもあります。

👉 ウィリス動脈輪については、
  【脳・脊髄①】脳の構造と機能 
  を参照してください。

症状

  • くも膜下出血では、
    以下のような症状がみられます。
  • 特に突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)が特徴です。
症状具体例
突然の激しい頭痛
(雷鳴頭痛)
「人生で最悪の頭痛」
と表現されることが多い
髄膜刺激症状項部硬直、ケルニッヒ徴候
頭蓋内圧亢進症状悪心・嘔吐、うっ血乳頭、眼内出血
意識障害もうろう状態〜昏睡
  • 髄膜刺激症状とは、
    髄膜が炎症出血によって
    刺激されたときにみられる症状です。
  • 主に髄膜炎やくも膜下出血でみられます。
  • 代表的な徴候は次の2つです👇
徴候名検査方法・特徴
項部硬直
(こうぶこうちょく)
仰向けの患者の頭を持ち上げようとすると、
首が硬くなり抵抗を感じる
最も代表的な所見。
ケルニッヒ徴候仰向けで片脚の股関節と膝を直角に曲げた
状態から膝を伸ばすと抵抗が生じる。
  • 頭蓋内圧が上昇したときにみられる
    視神経乳頭の腫脹です。
  • 頭蓋内圧が上昇すると、
    視神経に沿った静脈血や髄液の流れが障害され、
    視神経乳頭(視神経が眼球に入る部分)
    うっ血浮腫が生じます。
  • この状態を うっ血乳頭(papilledema) といいます。
  • 主な原因:
  • 脳腫瘍
  • くも膜下出血
  • 硬膜下血腫
  • 脳膿瘍
  • 水頭症 など
  • なお、視神経炎(視神経乳頭炎)に伴う乳頭浮腫とは異なり、
    うっ血乳頭では初期に視力障害を伴わないのが特徴です。
うっ血乳頭の発症機序を示した図。
脳圧の上昇により静脈血の還流が妨げられ、視神経乳頭にうっ血と浮腫が生じる過程を、脳から眼球、視神経の断面図を用いて段階的に示している。
図:うっ血乳頭の発症機序
頭蓋内圧の亢進により
視神経を通る静脈血の還流が障害され、
視神経乳頭にうっ血と浮腫が生じる。
この状態を うっ血乳頭(視神経乳頭の腫脹) という。
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くも膜下出血(SAH)
▶︎ 概念原因症状診断予後合併症治療
脳出血
▶︎ 概念原因分類治療

診断

  • くも膜下出血では、
  1. CTで出血を確認 
  2. 必要に応じて腰椎穿刺
    の順で検査を行います。
検査目的・特徴
頭部CT・MRI最も重要な検査。
くも膜下腔への出血を直接確認できる。
急性期(発症直後)はCTが最も有用
腰椎穿刺
(ルンバール)
CTで出血がはっきりしない場合に行う。
髄液を採取し、
血性またはキサントクロミー(黄橙色)
を呈することで診断を補強する。
キサントクロミーとは?
  • 髄液が橙黄色に変化する所見です
    (正常髄液は無色透明)。
  • 古い出血を示し、
    出血後3〜4週間ほど持続します。

予後

  • くも膜下出血は致死率の高い疾患です。
  • 発症後死亡率20〜30
  • 発症後24時間以内の再破裂約10〜20%
  • 再出血時の死亡率:50
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発症直後の再出血を防ぐ
ことが最重要ポイントです。

合併症

  • くも膜下出血では、以下の合併症に注意が必要です。
合併症特徴
再出血発症後24時間以内に起こりやすい
脳血管攣縮発症後4〜14日頃に多い。脳梗塞の原因になる
水頭症髄液循環障害
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特に脳血管攣縮による遅発性脳虚血
重要な合併症です。

治療

  • くも膜下出血の最大の目的は
    再出血(再破裂)の予防です。
  • 発症直後は再破裂のリスクが高いため、
    早期の止血処置が重要になります。
  • 代表的な治療法
  • 脳動脈瘤コイル塞栓術
  • 脳動脈瘤クリッピング術
  • くも膜下出血の多くは
    脳動脈瘤破裂によるため、
    治療では動脈瘤の再破裂を防ぐ処置
    が行われます。

脳動脈瘤コイル塞栓術血管内治療)

  • カテーテルを使って
    動脈瘤内に金属コイルを詰め、
    血流を遮断する方法です。
  • 開頭せずに行えるため、
    体への負担が少なく
    高齢者にも適応しやすい治療法です。

脳動脈瘤クリッピング術開頭手術)

  • 頭蓋骨を開けて、
    動脈瘤の根元を金属クリップで閉じる方法です。
  • 再出血を確実に防止できますが、
    開頭手術のため侵襲が大きい点に注意が必要です。
脳動脈瘤の2つの治療法を示す図。
左にコイル塞栓術、右にクリッピング術を描く。
コイル塞栓術では動脈瘤内に金属コイルを詰めて血流を遮断し、クリッピング術では動脈瘤の根元をクリップで挟み破裂を防止する様子を示している。
図:脳動脈瘤の治療法
(コイル塞栓術とクリッピング術
コイル塞栓術では、カテーテルを用いて
動脈瘤内にコイルを詰め、血流を遮断する。
クリッピング術では、開頭して
動脈瘤の根元(ネック)をクリップで閉鎖し、破裂を防ぐ。
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脳出血(Cerebral hemorrhage、脳内出血)

概念

  • 脳実質内の血管が破れて、
    脳内に出血が生じる疾患です。
  • 出血によって形成された
    血腫(血のかたまり)が脳組織を圧迫し、
    局所の神経症状や頭蓋内圧亢進症状
    を引き起こします。
  • 多くは日中の活動中に突然発症する
    のが特徴です。
脳出血とくも膜下出血の出血部位の違いを示す脳断面図。
脳出血は脳実質内での出血として赤く示され、
くも膜下出血は脳表面のくも膜下腔に出血が広がる様子として描かれている。
それぞれの出血部位がラベル付きで対比されている。
図2:脳出血とくも膜下出血の出血部位の違い
脳出血は脳実質内での出血であるのに対し、
くも膜下出血は脳実質外(くも膜下腔)に出血する。
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原因

  • 最も多い原因は 高血圧 です。
  • 慢性的な高血圧により
    脳内の小動脈が障害され、
    血管壁が脆くなって破裂しやすくなります。
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特に被殻出血では、
レンズ核線条体動脈(穿通枝)の破綻
が原因となることが多いとされています。

分類(出血部位による分類)

出血部位主な症状・特徴眼球の位置・偏位
被殻出血最も多い(約40%)。
反対側運動麻痺・
失語・意識障害
両眼が病側を向く
(病側への共同偏視
視床出血約30%。
感覚障害・視床痛・運動麻痺
両眼が内下方(鼻先)
を向く
脳幹(橋)
出血
最も重症意識障害・
呼吸障害・四肢麻痺・縮瞳
正中固定
(動かない)
小脳出血後頭部痛・めまい・嘔吐・
歩行障害(四肢麻痺なし)。
両眼が健側を向く
(健側への共同偏視
皮質下出血出血部位によるが、
てんかん発作・局所麻痺
を伴うことがある。
―(特記なし)
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脳の各部位の機能を思い出すと、
症状が理解しやすくなります。

  • 視床 → 感覚の中継地点
  • 脳幹 → 生命維持を担う中枢
  • 小脳 → 平衡機能 
    を担当します。

👉 各脳部位の機能は、
  以下の記事から復習できます。

治療

  • 出血の大きさや意識レベルなどをもとに、
    治療方針が決定されます。
  • 意識清明・脳ヘルニアなし
    → 内科的治療(降圧・安静など)
  • 意識低下・脳ヘルニアあり
    → 外科的治療(血腫除去術など)
  • 脳出血や脳梗塞、脳腫瘍などで
    頭蓋内圧が上昇すると、
    脳の一部が押し出されてしまうことがあります。
  • この状態を 脳ヘルニア といいます。
  • 押し出された脳組織では
    血流障害脳幹の圧迫が起こり、
    生命に関わる危険な状態になります。
  • そのため、
    早期発見と迅速な治療が重要です。
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脳出血で
頭蓋内圧が亢進している場合、
髄液検査は禁忌です。
腰椎穿刺により脳圧差が生じ、
脳ヘルニアを誘発する危険があります。

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脳出血
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くも膜下出血(SAH)

□ 概念:
  くも膜下腔への出血(出血性脳血管疾患)

□ 原因:
  脳動脈瘤の破裂が最多

□ 症状:
  突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)
  髄膜刺激症状(項部硬直・ケルニッヒ徴候)
  頭蓋内圧亢進症状(嘔吐・うっ血乳頭)

□ 診断:
  CTで出血を確認
  髄液:血性・キサントクロミー

□ 合併症:
  早期:再出血
  遅発:脳血管攣縮・水頭症

□ 治療:
  脳動脈瘤コイル塞栓術
  脳動脈瘤クリッピング術

脳出血(脳内出血)

□ 概念:
  高血圧を主因とする脳実質内出血
 (出血性脳血管疾患)

□ 原因:
  高血圧による細小動脈の破綻

□ 症状:
  日中の活動中に突然発症
  局所神経症状+頭蓋内圧亢進症状

□ 分類(出血部位):
  被殻:最多
  視床:感覚障害
  橋:最重症
  小脳:歩行障害・めまい

□ 治療:
  脳圧亢進時は腰椎穿刺(髄液検査)禁忌
 

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※ 記事作成には正確を期しておりますが、
内容に誤りや改善点がございましたら、
お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。

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