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👉 【循環器疾患】5択クイズで学ぶ!主要な血管疾患(動脈・静脈)
🔰 この記事について
- 本記事は、動脈硬化の基礎や大動脈瘤・大動脈解離についての要点解説記事です(※クイズは別記事)。
- まず基礎を押さえてから問題演習に進みたい方は、この要点解説から読み進めてください。
🖊️ この記事で学べる内容
以下の病態や疾患について、特徴や違いのポイントをまとめています。
🩺 学習の進め方
この動脈疾患シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。
おすすめの使い方👇
- 最初に 5択クイズ に挑戦して理解度チェック
- できなかった部分を、要点解説記事(本記事) でしっかり整理
- 最後にもう一度クイズを解いて、知識を定着
💡 学習のポイント
🔍 基礎から理解する|動脈硬化・大動脈瘤・大動脈解離
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▶ 動脈硬化|大動脈瘤|大動脈解離
📝 重要ポイントだけ
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動脈硬化(総論)※基礎病態
概念
- 動脈硬化(arteriosclerosis)とは、本来は弾力性のある動脈の壁が、さまざまな原因によって硬く・厚くなり、柔軟性を失った状態をいいます。
- 血管の伸び縮みが低下すると、血流抵抗の上昇 → 末梢循環障害 → 臓器障害へとつながります。
分類
- 動脈硬化は、病変が生じる血管壁の層によって次のように分類されます。
| 分類名 | 変化が生じる層 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| アテローム (粥状)硬化 | 内膜 | 最も頻度が高く臨床上重要。 脂質の蓄積によりプラークを形成し、 内腔が狭窄する。 |
| 小動脈硬化 | 内膜〜中膜 | 小動脈が硝子化・線維化し、 血流抵抗が上昇。 高血圧・糖尿病に関連。 |
| 中膜の輪状石灰化 (メンケベルグ型) | 中膜 | 中膜が石灰化するが内腔狭窄は軽度。 臨床的意義は小さい。 |

(管理人)
一般に “動脈硬化” というと、
アテローム(粥状)動脈硬化のことを指します。
アテローム(粥状)硬化とは?
- 動脈硬化の中で最も重要なのがアテローム(粥状)硬化です。
- 血管の内膜に脂質が蓄積してプラーク(粥状物質)が形成され、
進行すると内腔が狭窄し、
最終的にはプラーク破裂 → 血栓形成によって急性閉塞を引き起こすことがあります。

動脈硬化は、脂肪線条の形成から中間病変、
線維性プラークを経て進行し、
最終的にプラーク破裂によって血栓が形成される。
これにより血管の狭窄や閉塞が生じ、
心筋梗塞・脳梗塞などの原因となる。
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- 内皮細胞の傷害
高血圧・高血糖・喫煙などで内皮が傷つき、LDL※が入り込みやすくなる。
※血液中でコレステロールを運ぶ“悪玉コレステロール”のこと。 - 脂肪線条(初期変化)
LDLを取り込んだ泡沫細胞が集まり、脂肪線条※が形成される。
※血管内にできる初期の脂肪のたまり - 中間病変(プラークの基盤形成)
脂質と炎症細胞が増え、粥状物質(アテローム核)が蓄積する。 - 線維性プラーク(初期)
アテローム核の外側に線維性被膜が作られ、プラークが盛り上がる。 - 線維性プラーク(進行期)
プラークが増大し、血管内腔が狭くなる(狭窄)。 - プラーク破裂 → 血栓形成
被膜が破れると血栓が急速に形成され、血管を閉塞する。
アテローム(粥状)硬化の危険因子
- 動脈硬化は以下の要因が複合的に関与して進行します。

(管理人)
高血圧は動脈硬化を進める原因ですが、
動脈硬化が進んだ結果、高血圧になります。
“高血圧 ⇄ 動脈硬化” の悪循環で進行していきます。
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▶ 動脈硬化|大動脈瘤|大動脈解離
大動脈瘤(Aortic aneurysm)
概念
- 大動脈瘤とは、動脈硬化などによって大動脈の壁が弱くなり、血管の一部が“こぶ状”に膨らんだ状態をいいます。
- 放置すると拡大して破裂し、致死的となるため注意が必要です。
原因
- 最も多い原因は 動脈硬化(男女比は男性に多い:4:1)。
- その他の原因としては、以下が挙げられます。
分類
- 大動脈瘤ができる位置により、
胸部大動脈瘤(Thoracic Aortic Aneurysm; TAA)と
腹部大動脈瘤(Abdominal Aortic Aneurysm; AAA)に分けられます。
| 分類 | 意味 | 位置 |
|---|---|---|
| ① 胸部大動脈瘤(TAA) | 胸部の大動脈が膨らむ | 横隔膜より上 |
| ② 腹部大動脈瘤(AAA) | 腹部の大動脈が膨らむ | 横隔膜より下 |
👉 臨床では AAA(腹部大動脈瘤)が最も多い。

大動脈瘤は、胸部(TAA)と腹部(AAA)に大きく分類される。
TAAは胸部大動脈のこぶ状拡張、
AAAは腎動脈分岐部より下に生じることが多い。
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診断
- 大動脈瘤は 自覚症状が乏しい ことが多いため、画像検査が診断の中心となります。
治療
- 大動脈瘤の治療は “直径” が目安。
胸部大動脈瘤(TAA)の症状
- TAAは多くが無症状ですが、周囲の臓器を圧迫することで特徴的な症状が出ます。
- Horner(ホルネル)症候群は、胸部〜頸部の“交感神経節”が圧迫された時に、以下のような特徴的な症状がみられる症候群です(同側に出現)。
- 縮瞳(瞳孔が小さくなる)
- 眼瞼下垂(まぶたが下がる)
- 発汗低下(顔面の発汗が減る)
- 胸部大動脈瘤では、瘤が頚部交感神経(星状神経節など)を圧迫することで出現します。
- その他、肺尖部の腫瘍(パンコースト腫瘍)による圧迫でもみられます。
腹部大動脈瘤(AAA)の症状
- AAAも多くは無症状ですが、以下がみられます。

(管理人)
突然の激しい胸背部痛・腹痛は、
TAA・AAAどちらでも“破裂を疑う最重要サイン” です。
速やかな救急対応が必要です。
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▶ 動脈硬化|大動脈瘤|大動脈解離
大動脈解離(Aortic dissection)
概念
- 大動脈の壁は 内膜・中膜・外膜の3層構造 になっています。
- 大動脈解離とは、まず 内膜に裂け目(内膜亀裂) が生じ、そこから血液が 中膜の中へ入り込んで広がる 病態です
- 血液が中膜の中に作る“異常な通り道”を 偽腔(ぎくう) と呼び、一方、もともとの血液の通路は 真腔(しんくう) と呼びます。
- 偽腔が広がると真腔が圧迫され、臓器への血流が低下(虚血) し、突然の激烈な胸背部痛や脳・腎・下肢の虚血など、重篤な症状を引き起こします。

内膜の亀裂から血液が中膜へ流入し、偽腔が形成される。
右の横断面図は、真腔(本来の血流)と
偽腔(異常な血流)が並走する様子を示す。
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(管理人)
「大動脈解離」は、内膜の裂け目から中膜へ血液が入り込む病態 のこと。
その結果、外観が“こぶ”状になった場合に「解離性大動脈瘤」と呼ばれます。
瘤は必須ではないため、今は「大動脈解離」という名称が主流です。
原因
- 最も多い基盤は 動脈硬化です。
- その他に以下があります。
症状
- 大動脈解離は突然の激烈な胸背部痛で発症します。
- 痛みは発症時が最強で、解離が進むと、痛みが下方(背部 → 腰部 → 下肢)へ移動します。
- 偽腔による分枝動脈の虚血により、以下のような多彩な症状がみられます。
分類
- 大動脈解離には主に2つの分類があります。
◆ Stanford分類(臨床で最重要)
- A型:上行大動脈を含む解離(=DeBakey I・II)
→ 緊急手術の対象
B型:上行大動脈を含まない解離(=DeBakey III)
→ 原則は降圧治療(保存的)
◆ DeBakey分類(解剖学的分類)
- I型:上行〜弓部〜下行に広がる広範囲の解離
- II型:上行大動脈だけに限局
- III型:下行大動脈以降に発生し、遠位側へ進展

I型は上行〜弓部〜下行に広がるタイプ、
II型は上行のみに限局、III型は下行以降に発生します。
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診断
- 造影CT(最も迅速・確定診断に有用)
- 心エコー(TTE/TEE)
- 胸部X線:縦隔拡大がみられることもある
- MRI(精密評価)
治療
- 大動脈解離は致死的な疾患で、A型(上行大動脈を含む)では緊急手術が原則です。
- 一方、B型(上行を含まない)では、まず降圧治療(β遮断薬で心拍数を抑え、大動脈壁への負担を減らす)が行われます。
- 破裂や臓器虚血がある場合はステント治療を検討します。
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▶ 動脈硬化|大動脈瘤|大動脈解離
📝 チェックリストで動脈硬化・大動脈瘤・大動脈解離を一気に復習!
※ 記事作成には正確を期しておりますが、
内容に誤りや改善点がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。
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