
動脈硬化って、結局どんな病態なのか
いまだにイメージできないんですよね。

(管理人)
動脈硬化は、大動脈瘤や大動脈解離、ASOなど
多くの動脈疾患の“出発点”になる重要な病態です。
今回も5択クイズで重要ポイントを確認しましょう。

静脈の病気は動脈とどう違うんですか?

(管理人)
静脈は“うっ血”がキーワードです。
深部静脈血栓症や下肢静脈瘤など、
動脈とは全く違うメカニズムで発症します。
こちらも5択クイズで、ポイントを確認できます。
🔰 この記事について
本記事は、「解いて覚える」をコンセプトにした動脈疾患・静脈疾患の5択クイズ記事です。
(※詳細な要点解説は別記事にしています)
診療情報管理士の認定試験(基礎・医学編)をベースに、医療系国家試験の出題範囲を中心に構成しています。
出題対象は以下のとおりです👇
🩺 学習の進め方
この動脈疾患・静脈疾患シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。
おすすめの使い方👇
- まずはこのページの 5択クイズ に挑戦して理解度を確認
- 間違えた部分や曖昧な部分を、要点解説記事 でしっかり整理
- 最後にもう一度クイズを解いて、知識を確実に定着
👉 要点解説記事は以下のリンクからチェックしてください。
🔗 【循環器疾患】動脈硬化・大動脈瘤・大動脈解離の要点まとめ(動脈疾患①)
🔗 【循環器疾患】閉塞性動脈硬化症とバージャー病の要点まとめ(動脈疾患②)
🔗 【循環器疾患】静脈血栓塞栓症・下肢静脈瘤など静脈疾患の要点まとめ
💡 学習のポイント
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✏️ 5択クイズに挑戦!動脈疾患・静脈疾患のポイントをチェック
👇 いきなり問題を解くのが不安な人は、以下の要点解説記事へ
🔗 【循環器疾患】動脈硬化・大動脈瘤・大動脈解離の要点まとめ(動脈疾患①)
🔗 【循環器疾患】閉塞性動脈硬化症とバージャー病の要点まとめ(動脈疾患②)
🔗 【循環器疾患】静脈血栓塞栓症・下肢静脈瘤など静脈疾患の要点まとめ
問1:次のうち、動脈硬化の促進因子でないのはどれか。
- 喫煙
- 高血圧
- 高HDL血症
- 糖尿病
- 加齢
解答
動脈硬化の促進因子でないのは、3 です。
解説
- 喫煙は動脈硬化の促進因子です。
喫煙は血管内皮細胞を障害し、LDLの酸化を促進します。 - 高血圧は動脈硬化の促進因子です。
高血圧によって血管壁に強い負荷がかかり、内皮障害の原因となります。 - 低HDL血症が動脈硬化の促進因子になります。
HDL(善玉コレステロール)は余分なコレステロールを回収し、動脈硬化に対して防御的に働きます。
そのため、HDLが少ないと動脈硬化が進行しやすくなります。 - 糖尿病は動脈硬化の促進因子です。
糖尿病により糖化LDL・慢性炎症により動脈硬化が促進されます。 - 加齢は動脈硬化の促進因子です。
加齢により、血管の弾性低下や血管内皮の機能低下が起こります。
👉 動脈硬化の基本病態 については、こちら で詳しく解説しています。
問2:大動脈瘤について、正しい記述はどれか。
- 最も多い原因は、マルファン症候群である。
- 腹部大動脈瘤の大部分は、無症状ですごすことが多い。
- 胸部大動脈瘤は、突然の激烈な胸背部痛で発症する。
- 大動脈瘤の分類に、DeBakeyの分類がある。
- 大動脈瘤は、無症状でも発見次第手術が原則である。
解答
正しい記述は、2 です。
解説
- 誤り。最も多い原因は、動脈硬化です。
マルファン症候群は先天性の結合組織障害で大動脈瘤の原因となりますが、頻度は高くありません。 - 正しい。胸部・腹部大動脈瘤の多くは 無症状のまま経過 します。
増大すると周囲臓器の圧迫症状が出ることがあります。 - 誤り。突然の激烈な胸背部痛で発症するのは大動脈解離です。
大動脈瘤(胸部・腹部)は通常は無症状で、破裂時に強い痛みを生じます。 - 誤り。DeBakeyの分類は大動脈解離の分類です。
その他、大動脈解離の分類にはStanfordの分類があります。 - 誤り。直径が小さい場合は、血圧管理と経過観察を行います。
直径が大きい場合は、破裂のリスクを考慮して人工血管置換術などの手術が行われます。
👉 大動脈瘤 については、こちら で詳しく解説しています。
問3:急性大動脈解離について、正しい記述はどれか。
- 大動脈瘤に続発するものが多い。
- 解離により偽腔が形成される。
- 発症後、徐々に痛みが増強する。
- フォレスター分類が用いられる。
- 破裂や心タンポナーデがない場合でも原則早期手術が推奨される。
解答
正しい記述は、2 です。
解説
- 誤り。大動脈瘤と大動脈解離は病態が異なります。
瘤は血管壁の拡張、解離は内膜の裂け目が発端となります。 - 正しい。大動脈解離では偽腔が形成されます。
内膜の裂け目から血液が中膜に入り込み、偽腔が生じます。 - 誤り。痛みは発症直後が最強です。
その後は軽減することが多く、胸部→背部→腰部へ“移動”するのが特徴です。 - 誤り。大動脈解離では DeBakey分類・Stanford分類 を用います。
フォレスター分類は心筋梗塞の分類です。 - 誤り。Stanford A型のみ手術が原則です。
上行大動脈に解離がないB型では、破裂や臓器虚血がなければ降圧療法が基本です。
👉 大動脈解離 については、こちら で詳しく解説しています。
問4:閉塞性動脈硬化症について、正しい記述はどれか。
- 血管炎を伴うことが多い。
- 非喫煙者の発症はほとんどない。
- 上肢の細動脈に好発する。
- 患肢の熱感を伴う。
- 間欠性破行は、前屈みで改善しない。
解答
正しい記述は、5 です。
解説
- 誤り。血管炎を伴うのはバージャー病です。
閉塞性動脈硬化症(ASO)は動脈硬化による狭窄・閉塞であり、血管炎はみられません。
一方、バージャー病では、末梢の細動脈・静脈に血管炎が起こります。 - 誤り。ASOは非喫煙者にも発症します。
喫煙は強い危険因子ですが、高血糖、高血圧、加齢など動脈硬化促進因子が関与します。
一方、バージャー病は喫煙者に圧倒的に多く発症します。 - 誤り。ASOは下肢の中〜大動脈に好発します。
大腿動脈や膝窩動脈などが典型で、上肢にみられることはまれです。
一方、バージャー病は上肢・下肢の細動脈に好発します。 - 誤り。ASOでは患肢の“冷感”がみられます。
血流低下による典型的な所見で、比較的早い段階から現れます。
Fontaine分類Ⅰ度(無症状)でも、冷感を自覚する患者は少なくありません。 - 正しい。血管性間欠性跛行は前屈みで改善しません。
ASOの跛行(Fontaine分類Ⅱ度)は血流不足が原因で、姿勢変化では改善しません。
前屈みで改善するのは腰部脊柱管狭窄症による“神経性”の跛行です。
👉 閉塞性動脈硬化症(ASO) については、こちら で詳しく解説しています。
問5:バージャー病について、正しい記述はどれか。
- 末梢動脈疾患の大部分を占める。
- 生活習慣不良の中高年男性に多い。
- 飲酒が最大の増悪因子である。
- 間欠性破行が特徴的である。
- 脳梗塞や心筋梗塞を合併することが多い。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- 誤り。末梢動脈疾患の多くはASOです。
バージャー病の頻度は近年減少し、
PADの大部分は動脈硬化によるASOが占めます。 - 誤り。バージャー病は若年の喫煙男性に多い疾患です。
一方、ASOは生活習慣不良の中高年男性に多く発症します。 - 誤り。最大の増悪因子は“喫煙”です。
病因は不明ですが、発症・進行ともに喫煙との関連が非常に強いことが知られています。 - 正しい。血管性の間欠性跛行がみられます。
ASOと同様に、無症状 → 跛行 → 安静時痛 → 潰瘍・壊疽へと進行します。 - 誤り。脳梗塞や心筋梗塞の合併はASOでみられます。
バージャー病では動脈硬化性病変を伴わないため、脳梗塞や心筋梗塞の合併は稀です。
禁煙が成功すれば、予後は比較的良好です。
👉 バージャー病 については、こちら で詳しく解説しています。
問6:静脈血栓塞栓症の発症リスクが最も少ないと考えられるのはどれか。
- 数年間、高血圧を指摘されている中高年男性
- 長距離フライトの多いビジネスマン
- 帝王切開で出産後、1ヶ月の女性
- 肝癌の治療を受けている患者
- 下肢の人工関節手術後の入院患者
解答
発症リスクが最も少ないのは、1 です。
解説
- 正しい。高血圧はVTEの直接的な危険因子ではありません。
血栓形成には影響が少なく、動脈疾患のリスクとは区別されます。
高血圧は発症と関係がありません。 - 誤り。長時間のフライトはVTEリスクを高めます。
長時間の座位により下肢静脈の血流が停滞し、血栓ができやすくなります。 - 誤り。産後(産褥期)はVTEリスクが高い時期です。
妊娠・手術・安静など、血流停滞や凝固亢進を起こす要因が重なります。 - 誤り。悪性腫瘍はVTEの主要な危険因子です。
凝固能が亢進し、血栓形成リスクが大きく上昇します。 - 誤り。下肢の手術後はVTEリスクが非常に高い状態です。
手術による静脈壁の損傷と安静が重なり、血栓が形成されやすくなります。
👉 静脈血栓塞栓症 については、こちら で詳しく解説しています。
問7:静脈疾患について、正しい記述はどれか。
- 下肢静脈瘤では、皮下静脈が狭窄・閉塞する。
- 下肢静脈瘤は、D-ダイマーの上昇により診断される。
- 上大静脈症候群の原因として、肝細胞癌の浸潤が約80%を占める。
- 上大静脈症候群では、顔面や頸部の浮腫がみられる。
- バッド・キアリ症候群では、肝門部下大静脈閉塞が原因で門脈圧低下をきたす。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- 誤り。下肢静脈瘤は皮下静脈の“拡張・蛇行”が特徴です。
静脈弁不全によるうっ滞が原因で、狭窄や閉塞ではありません。 - 誤り。D-ダイマー上昇はVTEでみられます。
D-ダイマーは“血栓が分解されたときに増える物質”で、血栓症の指標として使われます。
下肢静脈瘤は血栓症ではなく、視診・触診や超音波で診断します。 - 誤り。上大静脈症候群の主因は肺癌による圧迫です。
特に肺小細胞癌が多く、肝細胞癌は一般的な原因ではありません。 - 正しい。頭頸部の静脈還流障害により浮腫がみられます。
顔面・頸部・上肢の腫脹が典型的な所見です。 - 誤り。バッド・キアリ症候群では門脈圧が亢進します。
肝静脈〜肝部下大静脈の閉塞により、肝うっ血と門脈圧亢進が生じます。
👉 静脈疾患 については、こちら で詳しく解説しています。
問8:下肢静脈瘤について、正しい記述はどれか。
- 片側下肢の腫脹や色調変化がみられる。
- 突然の呼吸困難や胸痛で発症する。
- ホーマンズ徴候が陽性となる。
- 治療には下大静脈フィルターが用いられる。
- 弾性ストッキングでの予防を行う。
解答
正しい記述は、5 です。
解説
- 誤り。片側下肢の腫脹や色調変化はDVTの典型所見です。
静脈瘤では、表在静脈の“拡張・蛇行”が主で、DVTのような腫脹や色調変化は基本的にみられません。 - 誤り。突然の呼吸困難・胸痛は肺塞栓症(PE)の症状です。
下肢静脈瘤は慢性疾患で、突発的な全身症状は出現しません。 - 誤り。ホーマンズ徴候が陽性となるのはDVTです。
足関節を背屈させたときにふくらはぎ痛が出る所見で、血栓があると陽性になります。
静脈瘤では通常みられません。 - 誤り。下大静脈フィルターは肺塞栓症(PE)の予防に用います。
下肢の血栓が肺へ飛ぶのを防ぐもので、静脈瘤の治療には使いません。 - 正しい。弾性ストッキングは下肢静脈瘤の基本治療です。
圧迫により静脈うっ滞を改善し、症状の進行を防ぎます。
👉 下肢静脈瘤 については、こちら で詳しく解説しています。
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