【呼吸器疾患】胸膜・胸腔疾患②(胸膜炎・気胸) を図解で総整理(要点解説)

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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🔰 この記事について

  • 本記事は、胸膜炎・気胸 についての要点解説記事です(※クイズは別記事)。
  • 基礎から整理して学びたい方は、この要点解説から読み進めてください。

🖊️ この記事で学べる内容

以下の内容について、特徴や違いのポイントをまとめています。

  • 胸膜炎
  • 気胸(自然気胸・外傷性気胸・緊張性気胸)

🩺 学習の進め方

この 胸膜・胸腔疾患 シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。

おすすめの使い方👇

  1. 最初に 5択クイズ(準備中) に挑戦して理解度チェック
  2. できなかった部分を、要点解説記事(本記事) でしっかり整理
  3. 最後にもう一度クイズを解いて、知識を定着

💡 学習のポイント

  • 最初にクイズに挑戦することで、「どこが出題ポイントなのか」が自然と見えてきます。
  • その後に要点解説を読むと、疾患の関連や違いが理解しやすくなります。
  • 理解を深めたあとにもう一度クイズに挑戦すれば、知識がしっかり定着します。
  • 本記事は、医療系学生・医療従事者向けに、基礎医学レベルで理解できるよう構成しています。

🔍 出題ポイントのまとめ|胸膜炎・気胸

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▶ 胸膜炎
▶︎ 気胸(総論)
▶︎ 自然気胸
▶︎ 外傷性気胸(医原性気胸を含む)
▶︎ 緊張性気胸

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胸膜炎(Pleuritis, Pleurisy)

  • 胸膜炎とは、肺を覆う胸膜に炎症が生じた状態を指します。
  • 多くの場合、胸水を伴って発症し、原因疾患の存在を示すサインとして扱われます。

👉 胸膜・胸腔の構造については、胸膜・胸腔疾患① を参照してください。

  • 胸膜炎の原因として多いのは、以下の疾患です。
    • 癌性胸膜炎
    • 結核性胸膜炎
  • そのほかにも、
    • 細菌・ウイルスなどの感染症
    • 膠原病(関節リウマチ、SLEなど)
    • 肺炎や肺梗塞に伴うもの
      などが原因となります。
  • 主な症状は以下の通りです。
    • 胸膜性胸痛深呼吸や咳で増強
    • 呼吸困難(胸水貯留による)
    • 発熱
    • 咳嗽
  • 胸膜炎にみられる胸痛は、胸膜性胸痛と呼ばれ、深呼吸や咳によって増悪するのが特徴です。
  • これは、炎症を起こした壁側胸膜が、呼吸運動によって刺激されるためです。
  • 胸膜には、以下のような疼痛感受性の違いがあります。
    • 壁側胸膜:体性神経が分布し、痛みを感じる
    • 臓側胸膜:痛覚はほとんどない
  • 深呼吸によって肺が拡張すると、臓側胸膜が動き、それに引き伸ばされる形で壁側胸膜が刺激され、胸痛が生じます。

👉 胸膜の構造については、胸膜・胸腔疾患① を参照してください。

  • 画像検査胸水検査が診断の中心となります。
  • ADA(アデノシンデアミナーゼ)高値は、 結核性胸膜炎を強く疑う所見として重要です。
検査主な目的・評価ポイント
胸部X線胸水の有無を確認(多くは片側性
・肺炎や腫瘍などの合併病変の評価
胸部CT・少量の胸水や局在の評価
・腫瘍性病変、胸膜肥厚の確認
胸水検査
(胸腔穿刺)
・胸水の性状(滲出液/漏出液)
・細菌検査(感染症の評価)
・タンパク量、LDH
・腫瘍マーカーの測定
ADA高値結核性胸膜炎を疑う
  • ADA(adenosine deaminase:アデノシンデアミナーゼ)は、主にリンパ球(特にT細胞)に多く含まれる酵素であり、細胞性免疫反応が活発な状態で上昇します。
  • 結核性胸膜炎では、結核菌に対する細胞性免疫反応が強く起こり、胸腔内にリンパ球が集積するため、胸水中のADA値が上昇します。
  • そのため、胸水中ADA高値は、結核性胸膜炎を強く疑う所見となり、診断の補助に用いられます。
  • 治療は、原因疾患への対応が基本となります。
    • 感染症:抗菌薬治療
    • 結核:抗結核薬
    • 悪性腫瘍:原疾患治療+胸水コントロール
  • 症状が強い場合:胸腔ドレナージ
  • 胸腔ドレナージとは、胸腔内にたまった空気や胸水、血液を体外へ排出するために、胸腔内へドレーン(管)を留置する処置です。
  • 胸腔内の貯留物を除去することで、肺の再膨張を促し、呼吸困難や循環障害を改善します。
  • 胸腔ドレナージは、
    • 気胸
    • 胸水貯留
    • 血胸

  などで行われ、症状が強い場合
  呼吸・循環への影響がある場合に適応となります。

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▶ 胸膜炎
▶︎ 気胸(総論)
▶︎ 自然気胸
▶︎ 外傷性気胸(医原性気胸を含む)
▶︎ 緊張性気胸

気胸(Pneumothorax)

  • 気胸とは、胸腔内に空気が貯留し、肺が虚脱する状態を指します。
  • 胸腔は本来、陰圧に保たれていますが、そこに空気が入り込むことで肺が十分に膨らめなくなります。
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(管理人)

虚脱」とは、
 肺の空気が抜けてしぼみ、
 十分に膨らめなくなった状態を意味します。

気胸の概念図。胸腔内に空気が貯留することで陰圧が失われ、臓側胸膜に覆われた肺が虚脱している状態を示す。壁側胸膜と臓側胸膜の位置関係、および胸腔内の空気(気胸)が分かる。
図1:気胸の概念図
胸腔内に空気が貯留すると、
本来陰圧に保たれている胸腔の状態が失われ、肺は虚脱する。
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  • 気胸は原因により、以下のように分類されます。
    • 自然気胸
      • 原発性自然気胸
      • 続発性自然気胸
    • 外傷性気胸
    • 緊張性気胸
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(管理人)

本記事では、最も頻度が高く
試験でよく出題される「自然気胸」を中心に解説します。

自然気胸(Spontaneous pneumothorax)

  • 自然気胸とは、外傷や医療行為によらず、肺の一部が自然に破綻し、空気が胸腔内に漏れ出ることで、肺が虚脱した状態を指します。
  • 自然気胸は、基礎となる肺疾患の有無によって、以下の2つに分類されます。
    • 原発性自然気胸
       明らかな基礎肺疾患を認めないもの
    • 続発性自然気胸
       COPD(肺気腫)などの基礎肺疾患に伴って発症するもの
       高齢者に多く、重症化しやすい
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(管理人)

本記事では、
頻度が高い原発性自然気胸を中心に解説します。

  • 自然気胸の主な原因は、
    • ブラ(bulla)
    • ブレブ(bleb)
      と呼ばれる気腔(肺嚢胞)の破裂です。
  • 肺実質内や胸膜直下に形成された空気のたまりが破れることで、空気が胸腔内へ漏出し、肺が虚脱します。
  • ブラ(bulla)ブレブ(bleb)はいずれも、肺に形成される気腔(肺嚢胞)のことです。
  • これらが、破裂すると空気が胸腔内に漏れ出て自然気胸の原因となります。
  • ブラ(bulla)は、主に肺実質内に形成される比較的大きな気腔で、COPD(肺気腫)などの基礎肺疾患に伴ってみられることが多いのが特徴です。
  • 一方、ブレブ(bleb)は、胸膜直下に形成される小さな気腔で、若年者の原発性自然気胸の主な原因とされています。
  • 自然気胸(特に原発性自然気胸)は、以下の集団に多くみられます。
    • 20歳代
    • やせ型
    • 長身の男性
  • 立位では、重力の影響により胸腔内圧に上下差が生じ、肺尖部ほど陰圧が強くなります
  • 長身であるほど、この胸腔内圧の差が大きくなり、肺尖部は慢性的に引き伸ばされやすくなります。
  • また、痩せ型では胸壁や皮下脂肪による支持が弱く、肺尖部にかかる力学的ストレスがさらに増加します。
  • このような状態が続くことで、肺尖部の胸膜直下にブレブが形成されやすくなり、その破裂によって自然気胸が発症しやすくなると考えられます。
  • 主な症状は、
  • 突然の胸痛
  • 突然の呼吸困難
    です。
  • 多くは安静時に急に発症し、片側性の胸痛・呼吸苦として自覚されます。
  • 画像検査が診断の中心となります。
  • 胸部X線
    • 血管陰影が消失
    • 透過性が亢進した領域を認める
    • 肺の虚脱像が確認できる

※CTは、原因となるブラ・ブレブの評価に有用です。

  • 治療方針は、重症度によって異なります。
  • 軽症:安静、経過観察
  • 中等症以上胸腔ドレナージによる脱気

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▶︎ 緊張性気胸

外傷性気胸(Traumatic pneumothorax)

  • 外傷性気胸とは、外力によって胸膜や肺が損傷されることで生じる気胸を指します。
  • 交通事故や転倒などにより肋骨骨折をきたした場合、骨折片が肺を損傷し、胸腔内に空気が漏れ出ることで発症します。
  • また、心臓マッサージなどの強い胸部圧迫によって肋骨骨折を生じた場合も、外傷性気胸の原因となります。
  • 医療行為に伴って発症する気胸(医原性気胸)も、外傷性気胸に含まれます。
  • 中心静脈カテーテル挿入、胸腔穿刺、肺生検 などが代表的な原因です。
  • 外傷性気胸では、血管損傷を伴うことも多く、血胸を合併する場合がある点が特徴です。
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血胸とは、
胸腔内に血液が貯留する病態です。

緊張性気胸(Tension pneumothorax)

  • 緊張性気胸とは、胸腔内に漏れた空気が一方向にのみ流入し続け、胸腔内圧が上昇することで、肺や心血管系を圧迫する状態を指します。
  • 緊張性気胸は、すべての気胸を原因として発症しうる重篤な病態です。
  • 自然気胸
  • 外傷性気胸
  • 医原性気胸
    いずれからも進展する可能性があります。
  • 特に、人工呼吸器装着中陽圧換気中では、胸腔内に空気が急速に流入しやすく、医原性の緊張性気胸を起こすリスクが高くなります。
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人工呼吸器や陽圧換気では、
空気を肺に「押し込む」ため、
肺が破れて気胸を起こすことがあります。

  • 緊張性気胸では、本来は呼吸に伴って出入りするはずの空気が、呼気時に外へ排出されなくなる一方向弁機構(one-way valve)が形成されます。
  • その結果、吸気のたびに空気が胸腔内へ流入し、胸腔内圧が持続的に上昇します。
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一方向弁状とは、
「押したら開くけど、引いたら閉じるドア」
のような状態です。

  • 上昇した胸腔内圧により、患側肺は高度に虚脱し、さらに心臓や大血管を含む縦隔が健側へ偏位します。
  • この縦隔偏位と胸腔内圧の上昇によって、静脈還流が障害され, 心臓へ戻る血液量が低下します。
  • その結果、心拍出量が低下し、循環不全からショックに至ることがあります。
緊張性気胸の模式図。吸気時に胸腔内へ空気が流入し、呼気時に排出されないことで胸腔内圧が上昇し、縦隔偏位と静脈還流低下を生じる様子を示す。
図2:緊張性気胸の病態
一方向弁機構により胸腔内に空気が流入し続け、
呼気時にも排出されないため胸腔内圧が上昇する。
これにより縦隔偏位と静脈還流低下をきたし、循環不全を招く。
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  • 緊張性気胸では、胸腔内圧の急激な上昇により、呼吸・循環の両方に重篤な障害が生じます。
  • 主な症状は、急激に出現する呼吸困難胸部不快感で、
    病状の進行に伴い、血圧低下や頻脈などの循環不全症状が目立つようになります。
  • 重症例では、ショックや意識障害を呈することもあります。
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緊張性気胸では胸痛そのものよりも、
循環不全による全身症状が前面に出る点が特徴です。

  • 緊張性気胸は生命を脅かす緊急事態であり、迅速な脱気処置を要する状態です。
  • 画像検査よりも、臨床判断を優先して治療が行われることがあります。

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▶ 胸膜炎
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胸膜炎

概念:基礎疾患に伴って発症する胸膜の炎症
原因:癌性胸膜炎、結核性胸膜炎が代表的
症状:深呼吸で増悪する胸膜性胸痛が特徴
画像:片側性の胸水貯留を認める(X線・CT)
検査:胸水ADA高値結核性胸膜炎を疑う

気胸(総論)

概念:胸腔内に空気が貯留し、肺が虚脱した状態
分類
 ・自然気胸
  └ 原発性:基礎疾患を伴わない
  └ 続発性:COPDなどの基礎疾患に続発
 ・外傷性気胸:医原性気胸を含む
 ・緊張性気胸:いずれの気胸からも進展しうる病態

原発性自然気胸

概念:外傷や基礎疾患によらず、自然に肺が破綻して発症する気胸
頻度:若年(20歳代)・痩せ型・長身男性に多い
原因:ブラ・ブレブの破裂
症状:突然の片側性胸痛、呼吸困難
画像:肺虚脱像・肺血管陰影の消失(X線)
治療:軽症では経過観察、中等症以上で胸腔ドレナージ

外傷性気胸

□ 概念:外力によって胸膜や肺が損傷されることで生じる気胸
□ 原因:
 ・肋骨骨折(交通外傷、心臓マッサージなど)
 ・医原性:中心静脈カテーテル留置、胸腔穿刺 など
□ 特徴:血管損傷を伴いやすく、血胸を合併することがある

緊張性気胸

 概念:一方向弁機構により、胸腔内圧が上昇する重篤な気胸
□ 原因:すべての気胸(自然・外傷性・医原性)から続発しうる
□ 病態:
  胸腔内圧上昇・縦隔偏位
  → 静脈還流低下
 → 心拍出量低下・ショック
□ 症状・所見:急激な呼吸困難、血圧低下、頻脈
□ リスク:人工呼吸器装着中・陽圧換気に発症しやすい
 対応:生命を脅かす緊急事態であり、迅速な脱気が必要

※ 記事作成には正確を期しておりますが、内容に誤りや改善点がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。

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