【呼吸器疾患】肺間質疾患①(ARDS、肺水腫、肺胞蛋白症)を図解で総整理(要点解説)

8章 循環器疾患・呼吸器疾患

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👉 【呼吸器疾患】5択クイズで学ぶ!外因性肺疾患と肺間質疾患

🔰 この記事について

  • 本記事は、肺間質疾患 についての要点解説記事です(※クイズは別記事)。
  • 基礎から整理して学びたい方は、この要点解説から読み進めてください。

🖊️ この記事で学べる内容

以下の内容について、ポイントをまとめています。

  • 正常な肺胞の構造
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  • 肺水腫
  • 肺胞蛋白症

🩺 学習の進め方

この 肺間質疾患 シリーズは、
「5択クイズ編」と「要点解説編」 の2本立てになっています。

おすすめの使い方👇

  1. 最初に  5択クイズ  に挑戦して理解度チェック
  2. できなかった部分を、要点解説記事(本記事) でしっかり整理
  3. 最後にもう一度クイズを解いて、知識を定着

💡 学習のポイント

  • 最初にクイズに挑戦することで、「どこが出題ポイントなのか」が自然と見えてきます。
  • その後に要点解説を読むと、疾患の関連や違いが理解しやすくなります。
  • 理解を深めたあとにもう一度クイズに挑戦すれば、知識がしっかり定着します。
  • 本記事は、医療系学生・医療従事者向けに、基礎医学レベルで理解できるよう構成しています。

🔍 出題ポイントのまとめ|肺間質疾患(ARDS・肺水腫・肺胞蛋白症)

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▶ 正常な肺胞の構造
▶︎ 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
▶︎ 肺水腫
▶︎ 肺胞蛋白症

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正常な肺胞の構造と役割

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肺間質疾患を理解するためには、
まず正常な肺胞の構造と役割
を押さえておくことが重要です。

  • 肺胞は、主に2種類の肺胞上皮細胞から構成されます。
  • また、肺胞内には肺胞マクロファージと呼ばれる免疫細胞が存在し、肺胞内環境の維持に重要な役割を果たしています。
細胞主な役割
Ⅰ型肺胞上皮細胞肺胞壁を構成する主要な細胞。
薄い細胞形態をとり、ガス交換に関与する。
Ⅱ型肺胞上皮細胞肺サーファクタント(表面活性物質)を産生し、
肺胞がつぶれる(虚脱)のを防ぐ。
肺胞マクロファージ肺胞内に侵入した異物や病原体を貪食・除去する。
  • これらの細胞の機能が障害されることで、ARDS肺胞蛋白症などの肺間質疾患が発症します。
正常な肺胞の模式図。Ⅰ型肺胞上皮細胞によるガス交換、Ⅱ型肺胞上皮細胞による肺サーファクタント産生、肺胞マクロファージによる異物貪食の様子と、肺毛細血管との位置関係を示している。
図1:正常な肺胞の構造と各細胞の役割
肺胞はⅠ型肺胞上皮細胞とⅡ型肺胞上皮細胞から構成され、
Ⅰ型肺胞上皮細胞がガス交換を担い、
Ⅱ型肺胞上皮細胞が肺サーファクタントを産生する。
肺胞内には肺胞マクロファージが存在し、
異物や古くなったサーファクタントの除去を行う。
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▶ 正常な肺胞の構造
▶︎ 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
▶︎ 肺水腫
▶︎ 肺胞蛋白症

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

  • ARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome)とは、心不全などによる肺水腫ではなく(非心原性、炎症を基盤とした肺障害により、急性に重度の低酸素血症をきたす呼吸不全を指します。
  • 病理学的には、びまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage:DAD)を特徴とします。
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以前は成人呼吸窮迫症候群とも呼ばれていましたが、
現在は年齢に関係なく発症するため
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という名称が用いられます。

  • ARDSでは、敗血症や重症肺炎などの強い全身性侵襲を契機として、肺胞内の肺胞マクロファージが活性化され、サイトカインが放出されます。
  • この炎症反応により、
    • 肺毛細血管の透過性が亢進
    • 好中球が肺へ遊走・活性化
      が同時に生じます。
  • 活性化した好中球は肺胞内へ浸潤し、プロテアーゼや活性酸素などの炎症性物質を放出することで、肺胞壁および血管内皮を障害します。
  • その結果、血管透過性はさらに亢進し(悪循環)、炎症反応が増幅されていきます。
  • こうした血管透過性亢進により、蛋白や細胞成分を含む炎症性滲出液が肺胞内に貯留します。
  • 肺胞内に滲出液が貯留すると、肺サーファクタントが減少し、肺胞は虚脱しやすくなります。
  • その結果、肺コンプライアンスが低下し、肺は硬くなり、ガス交換障害が進行して重度の低酸素血症をきたします。

※滲出と漏出の違いについては
👉 腹膜の構造と機能の記事で詳しく解説しています。

ARDSの模式図。炎症により肺胞マクロファージと好中球が活性化し、血管透過性亢進と炎症性滲出液の肺胞内貯留、肺胞壁障害、肺サーファクタント減少が生じる過程を示す。
図2:ARDSの病態(びまん性肺胞障害)
敗血症や重症肺炎などの侵襲を契機に肺胞マクロファージが活性化し、
サイトカイン放出や好中球活性化が起こる。
これにより肺胞壁および血管内皮が障害され、
血管透過性が亢進して炎症性滲出液が肺胞内に貯留する。
その結果、肺サーファクタントが減少し、
肺コンプライアンス低下と重度のガス交換障害をきたす。
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  • 最も多い原因は敗血症です。
  • そのほか、以下のような全身性炎症や肺障害が誘因となります。
    • 敗血症(最多)
    • 重症肺炎
    • 誤嚥
    • 重症外傷
    • ショック
    • 急性膵炎 など

👉 敗血症については、人獣共通感染症の記事 を参照してください。

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ARDSは、左心不全が原因ではありません。
心原性肺水腫とは病態が異なります。

👉 左心不全 については、心不全の記事 を参照してください。

  • ARDSでは、急速に以下の症状が進行します。
    • 強い呼吸困難
    • 頻呼吸
    • チアノーゼ
    • 酸素投与を行っても改善しにくい低酸素血症
  • 診断のポイントは以下の組み合わせです。
    • 急性発症の呼吸不全
    • 低酸素血症
    • 胸部画像での両側性浸潤影
    • 心不全による肺水腫が否定的(非心原性
  • ARDSの治療は原因治療+支持療法が中心です。
    • 原因疾患(敗血症・肺炎など)の治療
    • 人工呼吸管理(PEEPを用いた管理)
    • 酸素療法
  • 発症後の死亡率:約30〜58%
  • 極めて予後不良

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▶ 正常な肺胞の構造
▶︎ 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
▶︎ 肺水腫
▶︎ 肺胞蛋白症

肺水腫(pulmonary edema)

  • 肺水腫とは、肺毛細血管から水分が血管外へ移動し、肺胞内や肺間質に異常に貯留した状態を指します(※疾患名ではありません)。
  • 肺胞内に水分が貯留することでガス交換が障害され、低酸素血症をきたします。
肺水腫の模式図。正常な肺胞では空気で満たされガス交換が行われるが、肺水腫では肺毛細血管から移動した水分が肺胞内に貯留し、ガス交換が障害される様子を示す。
図3:肺水腫の病態
肺毛細血管からの漏出または滲出により水分が肺胞内に貯留すると、
肺胞が空気で満たされなくなり、ガス交換が障害される。
その結果、低酸素血症をきたす。
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  • 肺水腫の原因は、以下の3種類があります。
分類主な原因病態のポイント補足
心原性肺水腫左心不全肺毛細血管内圧↑により、
水分が肺胞内へ貯留
肺水腫の原因として
最も多い
非心原性肺水腫
膠質浸透圧低下
低タンパク血症
(ネフローゼ症候群など)
血漿膠質浸透圧↓により、
水分を血管内に保持できず
血管外へ移動
腹水・全身浮腫
伴うことが多い
非心原性肺水腫
炎症
敗血症
重症肺炎など
炎症により血管透過性↑し、
肺水腫をきたす
重度低酸素血症を
伴う重症例が ARDS
肺水腫の原因分類を示した模式図。炎症による血管透過性亢進、低タンパク血症による膠質浸透圧低下、左心不全による肺毛細血管圧上昇の3つの機序と、それぞれに対応する肺水腫(ARDS、非心原性肺水腫、心原性肺水腫)を示す。
図4:肺水腫の原因と病態の分類
肺水腫は、炎症による血管透過性亢進、低タンパク血症による膠質浸透圧低下、
左心不全による肺毛細血管圧上昇などを原因として生じる。
炎症性の肺水腫では滲出液が肺胞内に貯留し、重症例がARDSに分類される。
一方、心原性肺水腫は最も頻度が高く、漏出液(水分主体)の貯留を特徴とする。
  • 肺水腫では、呼吸困難を主症状とし、病態により起坐呼吸や泡沫状痰を認めることがあります。
  • 特に心原性肺水腫では、ピンク色泡沫状痰や起坐呼吸が典型的です。
  • 病態が進行すると、チアノーゼ意識障害など、重度の低酸素血症の症状を呈します。
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水分と空気が混じると泡沫状痰、
少量の血液が混じることでピンク色となります。

  • 胸部X線検査で、両側肺野にびまん性の浸潤影を認めます。
    ※ARDSと画像所見が類似するため、原因や病態の理解が重要です。
  • 肺水腫の治療では、原因となる病態の是正が基本となります。
  • 心原性肺水腫では、循環負荷の軽減を目的として利尿薬が用いられ、肺胞内や血管内の水分を減少させます。
  • また、必要に応じて酸素投与心不全治療を行います。
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ARDSと異なり、
心原性肺水腫では、利尿薬が有効
である点が重要な違いです。

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▶︎ 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
▶︎ 肺水腫
▶︎ 肺胞蛋白症

肺胞蛋白症(Pulmonary Alveolar Proteinosis:PAP)

  • 肺胞蛋白症とは、肺胞腔内に肺サーファクタント様の蛋白性物質が異常に貯留し、ガス交換能が低下する疾患です。
正常な肺胞と肺胞蛋白症の比較図。正常ではⅡ型肺胞上皮細胞が肺サーファクタントを産生し、肺胞マクロファージが除去する。肺胞蛋白症ではマクロファージによる除去が低下し、肺胞内にサーファクタント由来物質が貯留している様子を示す。
図◯:正常な肺胞と肺胞蛋白症の病態比較
正常ではⅡ型肺胞上皮細胞が産生する肺サーファクタントは、
肺胞マクロファージにより回収・除去される。
一方、肺胞蛋白症ではマクロファージ機能低下により
サーファクタント由来物質が肺胞内に貯留し、ガス交換が障害される。
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炎症や心不全による肺水腫とは異なり、
肺胞内が蛋白性物質で満たされる
ことが病態の本質です。

  • 肺胞蛋白症は、以下のように分類されます。
    • 自己免疫性(最も多い)
    • 続発性(血液疾患、膠原病などに伴うもの)
    • 先天性(遺伝性)
  • 無症状のこともある
  • 労作時呼吸困難
  • 咳嗽
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進行は比較的緩徐で、
急激な呼吸不全をきたすことは少ない
点が特徴です。

  • 胸部CT検査
  • 血液検査
  • 気管支肺胞洗浄(BAL)
  • 気管支肺胞洗浄(BAL)とは、気管支鏡を用いて肺の一部に滅菌生理食塩水を注入・回収し、回収液(洗浄液)を解析する検査です。
    肺胞蛋白症では、白濁した洗浄液が得られることが特徴です。
  • 肺胞蛋白症の治療の基本は、全肺洗浄です。
  • 全肺洗浄とは、気管内挿管下で生理食塩水を用いて肺胞内の蛋白性物質を洗い流す治療法です。
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肺水腫やARDSとは異なり、
利尿薬や抗炎症治療は基本的に有効ではありません。

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▶︎ 肺胞蛋白症

📝 チェックリストで重要ポイントを一気に確認!

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)

□ 非心原性肺水腫である
□ 敗血症・重症肺炎などの強い炎症が契機
□ 血管透過性亢進により
  蛋白・細胞を含む炎症性滲出液が肺胞内に貯留
□ 肺サーファクタント減少 → 肺コンプライアンス低下
重度の低酸素血症を呈する
□ 胸部X線・CTで両側びまん性浸潤影
□ 利尿薬は基本的に無効
□ 治療は原因治療+人工呼吸管理(PEEPなど)

肺水腫(pulmonary edema)

□ 肺毛細血管からの水分の漏出/滲出により
  肺胞・肺間質に水分が貯留
□ ガス交換障害 → 低酸素血症をきたす


原因分類
□ 心原性肺水腫(最多)
  左心不全 → 肺毛細血管圧上昇
□ 非心原性肺水腫(非炎症性)
  低タンパク血症(ネフローゼ症候群・肝硬変など)
□ 非心原性肺水腫(炎症性)
  血管透過性亢進(※重症例がARDS

症状
□ 呼吸困難・起坐呼吸
□ ピンク色泡沫状痰(水分+空気+微量の血液)
□ 進行でチアノーゼ・意識障害

治療
□ 利尿薬が有効(特に心原性)
□ 原因疾患の治療が重要
□ ARDSとの鑑別が重要

肺胞蛋白症

□ 肺胞腔内に肺サーファクタント由来物質が異常貯留
自己免疫性が最多|
□ 労作時呼吸困難・咳、無症状のこともある
□ 診断に気管支肺胞洗浄(BAL)が有用
□ 治療は全肺洗浄が基本(利尿薬は無効)

※ 記事作成には正確を期しておりますが、内容に誤りや改善点がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
今後の教材作成の参考にさせていただきます。

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