🧠 苦手な「ホルモン」も、クイズで楽しくマスター!
生理学の中でも「ホルモン」は覚える内容が多く、苦手意識を持つ学生が多い分野です。
本シリーズ【内分泌】では、クイズ形式で知識の整理と定着をサポートします。
今回のテーマは「副腎・性腺・その他の内分泌腺から分泌されるホルモン」。
それぞれのホルモンの名称や分泌部位、働きなど、国家試験や定期試験で頻出のポイントを押さえて解説します。
🎯 本記事で扱う主なホルモン
📘 対象読者と活用シーン
本記事は、以下のような方におすすめです:
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学生の理解をサポートする補助教材として、授業や小テストにも役立ててください。
🖊️ クイズで覚える!副腎・性腺・その他のホルモン
問1:コルチゾールについて、正しいのはどれか。
- 副腎髄質から分泌される。
- 分泌が増加すると、ACTHの分泌を抑制する。
- 早朝に分泌が低下し、夜間に分泌が増加する。
- 炎症反応を増幅させる作用を持つ。
- 糖新生を抑制し、血糖値を低下させる。
解答
正しい記述は、2 です。
解説
- コルチゾールは、副腎皮質から分泌されます。
副腎髄質からは、アドレナリン・ノルアドレナリンが分泌されます。 - 正しい記述です。
コルチゾールの血中濃度が上昇すると、コルチゾールが視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を抑制します(負のフィードバック機構)。 - コルチゾールの分泌には日内変動があり、早朝に分泌が最高になり、夜間に分泌が最低になります。
- コルチゾールは炎症反応を抑制する(抗炎症)作用があります。
- コルチゾールは、糖新生を促進し、血糖値を上昇させます。
問2:アルドステロンについて、正しいのはどれか。
- 精巣から分泌される。
- 細胞膜の受容体に結合する。
- グリコーゲンの合成を促進する。
- 分泌が増加すると、血中ナトリウム濃度が低下する。
- アジソン病では、分泌が低下する。
解答
正しい記述は、5 です。
解説
- アルドステロンは、副腎皮質から分泌されます。
- アルドステロンはステロイドホルモンであるため、細胞膜を通過し細胞内の受容体に結合します。
- アルドステロンは、主に電解質に対して作用を持つミネラルコルチコイドです。
グリコーゲン合成作用は、糖質コルチコイドであるコルチゾールの作用です。 - アルドステロンの分泌が増加すると、腎臓の遠位尿細管からのNa+の再吸収が増加し、血中Na濃度は増加します。
- 正しい記述です。
アジソン病は副腎皮質機能低下症で、副腎皮質からのホルモン分泌が低下します。
問3:アドレナリンについて、正しいのはどれか。
- ステロイドホルモンである。
- 副腎皮質から分泌される。
- 副交感神経の興奮により分泌が促進される。
- 血糖低下作用を持つ。
- 血圧上昇作用を持つ
解答
正しい記述は、5 です。
解説
- アドレナリンは、カテコールアミン(アミン型ホルモン)です。
- アドレナリンは、主に副腎髄質から分泌されます。
副腎皮質からはコルチゾールやアルドステロンが分泌されます。 - アドレナリンは、交感神経の興奮により分泌が促進されます。
- アドレナリンは、糖新生を促進したり、グリコーゲンの分解を促進することで血糖値を上昇させます。
- 正しい記述です。
アドレナリンは、主に心機能亢進(心拍数増加・心筋収縮力増加)により血圧を上昇させます。
問4:性ホルモンについて、正しいのはどれか。
- アンドロゲンは、副腎性男性ホルモンである。
- プロゲステロンは、成熟卵胞から分泌される。
- 精巣からプロラクチンが分泌される。
- エストロゲンは、主に子宮内膜の分泌を促進する。
- テストステロンは、蛋白質の分解を促進する。
解答
正しい記述は、1 です。
解説
- 正しい記述です。
アンドロゲンは副腎皮質から分泌される男性ホルモンで、末梢組織でテストステロン(男性)やエストロゲン(女性)などの性ホルモンに変換されて働きます。 - プロゲステロンは、主に排卵後の黄体から分泌されます。
成熟卵胞から分泌されるのはエストロゲンです。 - 精巣からはテストステロンが分泌されます。
プロラクチンは下垂体前葉から分泌されます。 - エストロゲンは、主に子宮内膜の増殖を促進します。
子宮内膜の分泌を促進するホルモンは、プロゲステロンです。 - テストステロンは、筋肉などで蛋白質の合成を促進します。
問5:ホルモンについて、正しいのはどれか。
- アンドロゲンは、K+排泄促進作用をもつ。
- レニンは、副腎髄質から分泌される。
- ANPは、骨髄での赤血球の成熟を促進する。
- BNPは、心不全の検査に用いられる。
- レプチンは、摂食促進作用をもつ。
解答
正しい記述は、4 です。
解説
- アンドロゲンは、副腎皮質から分泌される男性ホルモンで、性ホルモンの前駆体として働きます(問4参照)。K+の排泄促進作用を持つのはアルドステロンです。
- レニンは、腎臓の傍糸球体細胞から分泌されます。
- ANP(心房性Na利尿ペプチド)は、心房から分泌され、血管拡張や利尿作用を持ちます。骨髄での赤血球の成熟を促進するホルモンは、エリスロポエチンです。
- 正しい記述です。BNP(脳性Na利尿ペプチド)は、主に心室から分泌されるホルモンです。心室の圧力上昇や拡張に応じて血中濃度が上昇するため、心不全の診断や重症度の評価に用いられています。
- レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、摂食を抑制するように働きます。
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副腎
- 副腎は腎臓の上部に位置する小さな三角形の形をした内分泌腺で、左右に一対存在します。
- 副腎は大きく皮質(外側)と髄質(内側)から構成されます。
- 副腎皮質はさらに、外側から球状層、束状層、網状層の三層に分かれており、
- 球状層からは アルドステロン(ミネラルコルチコイド)
- 束状層からは コルチゾール(グルココルチコイド)
- 網状層からは アンドロゲン
が分泌されます。
- 副腎髄質からは、アドレナリンやノルアドレナリンといったカテコールアミンが分泌されます。

副腎皮質
- 副腎で合成されるステロイドホルモンをコルチコイドといい、グルコ(糖質)コルチコイドやミネラル(鉱質、電解質)コルチコイドがあります。
- 以下にそれぞれの特徴を示します。
分類 | 主なホルモン | 作用 |
---|---|---|
グルココルチコイド | コルチゾール | 糖質やタンパク質の代謝に作用し、血糖を上昇させる |
ミネラルコルチコイド | アルドステロン | Naの再吸収、Kの排泄を促進し、水分・電解質のバランスを調整する |
次に、それぞれの代表的なホルモンについて説明します👇
コルチゾール
分泌調節
- 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やストレスにより分泌が増加します。
- 視床下部-下垂体-副腎皮質系による負のフィードバック機構で調節されます。
- 日内変動があり、早朝に最高、夜間に最低となります。
作用
①代謝作用
- 糖代謝:糖新生を促進し、血糖値を上昇させます。また肝臓でのグリコーゲン合成を促進します。
- 蛋白質代謝:蛋白分解を促進し、得られたアミノ酸をグルコースの新生(糖新生)に利用します。
- 脂質代謝:脂肪の分解を促進し、遊離脂肪酸をエネルギー源として利用します。
(慢性的に高濃度になると脂肪分布の変化を引き起こします)
②中枢興奮作用
- ストレス時にストレスへの適応を促します。
- 過剰分泌や慢性的にコルチゾール濃度が上昇すると、不安感やうつ症状、記憶障害などを引き起こす可能性があります。
③ミネラルコルチコイド様作用
- 血中濃度が高くなった場合に、アルドステロンと同じく、Na再吸収促進・K排泄促進作用を示します。
- 適切な濃度では、その作用はアルドステロンよりも弱いです。
④骨代謝作用
- 破骨細胞の活性化により骨吸収を促進し、骨芽細胞の抑制により骨形成を抑制します。
- 長期的にコルチゾール濃度が上昇すると、骨粗鬆症のリスクを高めます。
⑤抗炎症・免疫抑制作用
- 炎症性サイトカインの生成を抑制し、白血球の移動や活性化を阻害します。
- リンパ球の増殖や機能を抑制し、免疫応答を低下させます。
分泌異常
- 分泌過剰症として、クッシング症候群があります。
- クッシング症候群のうち、下垂体からのACTHの分泌が過剰になって起こるものをクッシング病といいます。
- クッシング症候群では、血糖上昇(糖尿病)、筋萎縮、中心性肥満、満月様顔貌、高血圧、 骨粗鬆症、抑うつなどの症状がみられます。
アルドステロン
分泌調節
- アルドステロンは次のような条件により、分泌が促進されます。
- 血圧低下
- 体液量減少
- Na濃度低下
- レニンやアンギオテンシンの刺激
- この仕組みは、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAA系)と呼ばれます。
- 以下に、RRA系によるアルドステロンの分泌調節を示します。

RAA系の流れ
- 血圧低下などにより、腎臓からレニンの分泌が促進されます。
- レニンはアンギオテンシノーゲンから、アンギオテンシンⅠを生成します。
- アンギオテンシンⅠはアンギオテンシン変換酵素(ACE)によりアンギオテンシンⅡに活性化されます。
- アンギオテンシンⅡは副腎皮質に作用しアルドステロンの分泌を促進します。
- アルドステロンにより血圧が上昇すると、レニンの分泌が抑制されます(負のフィードバック機構)。
作用
- 腎遠位尿細管でのNa+の再吸収を促進し、K+、H+の排泄を促進します。
- Na+の再吸収により、水の再吸収も増加し、血液量が増加するため血圧が上昇します。
分泌異常
- 分泌過剰症として、アルドステロン症があります。
- アルドステロン症では、高血圧、 低K血症、筋力低下、代謝性アルカローシスなどがみられます。
アンドロゲン(男性ホルモン)
分泌調節
- コルチゾールと同じく、
- 視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
- 下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
により分泌が促進され、負のフィードバック機構により分泌が調節されています。
- ただし、ACTHによる分泌促進作用や、負のフィードバック作用はコルチゾールに比べて弱いです。

作用
- 末梢でテストステロンやエストロゲンに変換されて作用します。
- 主に男性化作用と骨形成促進作用があります。
男性化作用 | 男性:生殖器の発達、機能維持 女性:腋毛、恥毛の発生 |
骨形成促進作用 | 成長期に骨量増加を促進 |
副腎皮質機能低下症:アジソン病
- 副腎皮質機能低下症として、アジソン病があります。
- アジソン病では、副腎皮質ステロイドホルモンの全てが低下するため、以下のような症状がみられます。
- 尚、負のフィードバック作用の低下により下垂体前葉からのACTHの分泌は増加します。
- コルチゾール欠乏 → 低血糖
- アルドステロン欠乏 → 低血圧
- アンドロゲン欠乏 → 恥毛・腋毛の脱落(女性の場合)
- ACTH過剰 → 色素沈着(ACTHの作用を参照)。
副腎髄質
- 副腎髄質からは、カテコールアミンと呼ばれるホルモンが分泌されます。
- 副腎髄質から分泌されるカテコールアミンには以下が含まれます。
- アドレナリン(約80%)
- ノルアドレナリン(約20%)
- ドパミン(わずか)
カテコールアミンの合成経路
- アミノ酸の一種であるチロシンがL-ドーパ(L-DOPA)に変換され、その後ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンと合成が進みます。
- 交感神経でもカテコールアミンの合成が行われますが、ノルアドレナリンをアドレナリンに変換する酵素が存在しないため、交感神経終末からは主にノルアドレナリンが放出されます。
- 副腎髄質からは主にアドレナリンが分泌されます(約80%)。

アドレナリン、ノルアドレナリン
分泌調節
- 副腎髄質は交感神経により直接支配されており、交感神経が興奮すると、副腎髄質からのカテコールアミンの分泌が促進されます。
作用
- アドレナリンおよびノルアドレナリンは、α受容体(α1、α2)、β受容体(β1、β2、β3)に結合し、作用を示します。
- アドレナリンは、αおよびβ受容体の両方に対して作用し、特にβ受容体(β₁およびβ₂)への結合性が強いです。
- ノルアドレナリンは、主にα受容体(α₁およびα₂)に対して高い親和性を持っています。
- 以下に、それぞれの受容体の局在について示します。
受容体 | 主な局在 |
---|---|
α1受容体 | 血管平滑筋、瞳孔散大筋 |
α2受容体 | 交感神経終末、血小板 |
β1受容体 | 心臓、腎臓 |
β2受容体 | 気管支平滑筋、血管平滑筋、肝臓 |
β3受容体 | 脂肪組織 |
- 以下にそれぞれのホルモンの主な作用を示します。
ホルモン | 主な作用 |
---|---|
アドレナリン | 心拍数・心筋収縮力増加 → 血圧上昇 肝グリコーゲン分解・糖新生促進 → 血糖上昇 気管支拡張 → 呼吸促進 |
ノルアドレナリン | 血管収縮 → 血圧上昇 |
- アドレナリンはβ受容体作用が強く、心拍数増加・気管支拡張など全身的な逃走反応(fight or flight)を引き起こします。
- ノルアドレナリンはα受容体作用が強く、主に血圧を上げる方向に働きます。
分泌異常
- 分泌が過剰になる疾患として、褐色細胞腫があります。
- 褐色細胞腫では、高血圧(Hypertension)、高血糖(Hyperglycemia)、代謝亢進(Hypermetabolism)、頭痛(Headache)、発汗過多(Hyperhydrosis)の5Hの症状がみられます。
性腺
- 性腺は、男女それぞれに存在する内分泌腺であり、性ホルモンの分泌と生殖細胞(精子や卵子)の産生を担当しています。
- 男性の性腺は精巣、女性の性腺は卵巣です。
精巣
- 精巣は陰嚢内に位置し、精子形成管(精細管)とライディッヒ細胞を含む結合組織で構成されます。

- 精細管に存在するセルトリ細胞が精子形成を支持し、ライディッヒ細胞が精子形成に必要なアンドロゲン(男性ホルモン)を分泌します。
- 精巣から分泌されるアンドロゲンのほとんどがテストステロンです。
- テストステロンは、主に以下のような作用を持ちます。
- 男性化作用:声変わり、陰毛・体毛の増加、陰茎・精巣の発達など
- 蛋白同化作用:筋肉量の増加、骨量の増加
- 男性では精巣由来のテストステロンの方が強力であるため、副腎由来アンドロゲンの影響は相対的に小さいです。
卵巣
- 卵巣は左右に一対存在し、卵巣内には卵子を取り囲む構造である卵胞が多数存在しています。
- 月経周期に応じて卵胞が成熟し、中の卵子が排卵されます。
- 排卵後の卵胞は黄体となります。

- ホルモン分泌
- 成熟卵胞:エストロゲン(卵胞ホルモン)を分泌
- 黄体:プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲンを分泌
- ホルモンの作用
- エストロゲン:子宮内膜の増殖を促進(妊娠に備えた準備段階)
- プロゲステロン:子宮内膜の分泌を促進(受精卵着床に適した状態に)
※月経周期の詳細(視床下部-下垂体-卵巣軸やホルモン変化)は、別項目で解説予定です。
その他の臓器
心臓
- 主に心房から心房性Na利尿ペプチド(ANP)が分泌され、心室から脳性Na利尿ペプチド(BNP)が分泌されます。
- 心臓が過度に拡張された時に分泌が促進されます。
- 腎臓からのNa+の排泄促進作用、血管拡張作用、利尿作用などを持ちます。
- 心負荷により上昇するため、血中BNP値は心不全のマーカーとして利用されています。
腎臓
- エリスロポエチン
- 低酸素状態で分泌が促進され、骨髄における赤血球の成熟を促進します。
- レニン
- 血漿中のNa+濃度の減少により、循環血漿量(血圧)が低下すると傍糸球体細胞から分泌され、アンギオテンシンⅠの合成を促進し、血圧を上昇させます(レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系)。
脂肪
- レプチン
- 食後に脂肪細胞から分泌され、摂食を抑制します。
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🔗 【内分泌③】5択クイズで覚える!甲状腺・副甲状腺・膵臓ホルモンの役割と特徴
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