病原体の種類

4章 感染症

今回は、病原体の種類についての問題です。

細菌や真菌、ウイルスの違いを明確に言えますか?

まずは、以下の1問を解いてみてください。

”解答”の左にある黒い三角をクリックすると、解答および解説が表示されます。

問題

問:正しいのはどれか。

  1. 真菌は、カビや酵母などの様な生活形態をもった原核生物である。
  2. マイコプラズマは、らせん形をした細菌である。
  3. クラミジアとリケッチアは、ともに寄生虫の一種である。
  4. クラミジアは、細胞壁を持たない。
  5. スピロヘータは、単細胞である。
解答

 正しい記述は、5 です。

解説
  1. 真菌は原核生物ではなく、核膜をもつ真核生物です。
  2. らせん形をした細菌は、スピロヘータです。
  3. クラミジアとリケッチアはともに自己増殖できず、宿主の細胞内で増殖する非定型の細菌の一種です(典型的な細菌は自己増殖できます)。
  4. クラミジアは、定型の細菌と同様に細胞壁をもっています。細胞壁をもたない細菌は、マイコプラズマです。
  5. 細菌は、単細胞(細胞を1つしか持たない生き物)です。スピロヘータは細菌の一種なので、単細胞です。

ポイント

病原体の種類

以下、病原体の種類別の特徴をまとめました。

ウイルスが入っていませんが、ウイルスはそもそも細胞ではないので、細胞核や細胞壁という概念がありません。

以下の表を自分で書いてみると覚えるんじゃないかと思います。

表の解説

  • 細胞内に核膜をもたない細胞を原核細胞といいます。細菌は単一原核細胞からなる原核生物で、細胞質に裸で遺伝子(DNA)を持っています。
  • 細胞内に核膜をもつ細胞を真核細胞といいます。真菌および寄生虫真核細胞からなる真核生物で、核内にDNAをもちます。人間の細胞も核内にDNAをもっていますから、真核細胞です。
  • 細胞壁をもつ病原体は、細菌真菌です。寄生虫ヒトの細胞は、細胞膜の外側に細胞壁はありません
  • 細菌、真菌、原虫単細胞生物(細胞一個で一個体)なので肉眼では見えませんが、蠕虫ヒトと同じく多細胞生物なので、中には肉眼で見えるような大きなものもいます。

文字だけだと頭に入りにくい場合は、絵を書いて視覚的に覚えることをおすすめします。

以下にイメージを書いてみました↓

類題

以下の類題を問いて、知識を深めましょう。

類題1.正しいのはどれか。

  1. ウイルスは、食品や土壌中などの動物細胞外でも増殖できる。
  2. スピロヘータは、自己増殖できない。
  3. リケッチアは、自己増殖可能である。
  4. マイコプラズマは、生きた細胞の中でのみ増殖する。
  5. クラミジアは、生きた細胞の中でのみ増殖する。
解答

 正しい記述は、5 です。

解説

 自己増殖できない病原微生物の代表は、ウイルスです。宿主の細胞内に侵入し、宿主細胞内で増殖します。スピロヘータ、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジアはいずれも細菌ですが、以下の表にそれぞれの特徴をまとめています。

スピロヘータらせん状の形態をもつ細菌。梅毒病原体が代表的。
リケッチア、クラミジア自己増殖できず、生きた細胞の中でのみ増殖する。
マイコプラズマ細胞壁をもたない細菌。
管理人
管理人

大学院生の時、実験室で、ある細胞の培養をしていましたが、時々細菌が混入するトラブルがありました。細胞の培養液は栄養たっぷりなので、細菌が混入すると一気に増殖するのを何回も見たものです。ちなみに、細菌が混入すると実験にならないので、絶望ものでした。。。

類題2.正しいのはどれか。

  1. 蠕虫は、最も単純で原始的な微生物で単一の真核細胞からなる。
  2. 真菌は細菌の一種だが、細胞壁を持たない。
  3. 原虫は、原核生物である。
  4. マイコプラズマは最も小さな病原体であり、電子顕微鏡でないと観察できない。
  5. 一般に、ウイルスは細菌よりも小さい。
解答

 正しい記述は、5 です。

解説
  1. 蠕虫は、多数真核細胞からなる多細胞生物です。
  2. 真菌は真核生物であり、原核生物である細菌とは異なります。また、細胞壁をもつため、後半部分も誤りです。細胞壁をもたない細菌は、マイコプラズマです。
  3. 原虫は、単一真核細胞からなる真核生物です。
  4. マイコプラズマは、0.1 μm〜数 μmと自己増殖能をもつ病原体の中では最小ですが、病原体の中で最も小さいのはウイルスです。マイコプラズマの観察には電子顕微鏡が必要なので、後半の部分は正しいです。
  5. 4の記述にもありますが、ウイルスは最小の病原体であり、およそ100 nmです(観察には電子顕微鏡が必要です)。一方、一般的な細菌は1μmくらいの大きさなので、光学顕微鏡で観察可能です。

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