感染症法:感染症の分類

4章 感染症

今回は、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)からの問題です。

”解答”や”解説”の左にある黒い三角をクリックすると、解答、解説が表示されます。

問題

問:正しい組み合わせはどれか。

  1. エボラ出血熱  − 3 類感染症
  2. パラチフス    − 5 類感染症
  3. デング熱      − 1 類感染症
  4. 急性灰白髄炎  − 2 類感染症
  5. 細菌性赤痢    − 4 類感染症
解答

 正しい組み合わせは、4 です。

解説
  1. エボラ出血熱は、1 類感染です。病原体はエボラウイルスで、主な流行地はアフリカです。
  2. パラチフスは、3 類感染症です。パラチフス菌(グラム陰性桿菌)による食中毒です。
  3. デング熱は、4 類感染症です。4 類感染症には動物・食物を介するものが含まれますが、デング熱はにより媒介されます。病原体はデングウイルスです。主な流行地は東南アジア、南米、アフリカですが、2014年に日本国内で感染事例が報告されました。
  4. 急性灰白髄炎(ポリオ)は、2 類感染症です。ポリオウイルス経口感染です。五種混合ワクチンで予防できます。(2024年現在)。
    ※ ワクチンについては、こちらを参照。
  5. 細菌性赤痢は赤痢菌による食中毒で、3 類感染症です。赤痢菌は、志賀潔が発見しました。

ポイント

感染症法では、感染症を危険度の高いものから順に、1〜5 類に分類しています。

時々内容に変更があるので、現行の感染症法に基づいて問題を作成しています(2024年現在)。

このタイプの問題は、1〜3 類に分類される感染症を覚えてしまった方が楽です。

尚、4 類、5 類に分類される感染症は、非常に多い(40疾患以上あります)ので覚えるのは難しいと思います。

1類エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、
マールブルグ病、ラッサ熱
2類急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、
中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
3類コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス
  • 1 類は”〜出血熱”系が多いです。アフリカで流行しているものが多く、日本国内ではみられない感染症ばかりです。
  • 2 類は、SARS、MERSコロナウイルスが含まれています。いずれも2 類に分類されるような危険性の高い感染症なので、近年、世界的に大流行した(している)新型コロナウイルスと違い、世界的な大流行にはなりませんでした(感染者の症状が重く、動きまわれないため)。
  • 3 類は全て食中毒です。大腸菌感染症には、腸管出血性大腸菌感染症以外に、腸管侵入性、腸管毒素原性、腸管病原性、腸管凝集性などがあるので注意です。

暗記タイプの問題は量を解いて覚えていった方が良いので、以下、類題を出しておきます。

類題

類題 1:正しい組み合わせはどれか。

  1. ペスト ー 3 類感染症
  2. コレラ ー 2 類感染症
  3. 結核  ー 1 類感染症
  4. AIDS  ー 5 類感染症
  5. ポリオ ー 4 類感染症
解答

 正しい組み合わせは、4 です。

解説
  1. ペストは1 類感染症で、中世ヨーロッパで大流行しました。ペスト菌(グラム陰性桿菌)による感染症です。
  2. コレラはコレラ菌(グラム陰性桿菌)による食中毒で、3 類感染症です。米のとぎ汁様下痢が有名な症状です。
  3. 結核は結核菌(抗酸菌)の空気感染、飛沫感染による感染症で、2 類感染症に分類されます。
    ※ 空気感染と飛沫感染の違いについては、こちらで説明しています。
  4. AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)性・血液・母子感染による感染症で、5 類感染症に分類されます。
  5. ポリオ(急性灰白髄炎)は、2 類感染症です。

類題 2:正しい組み合わせはどれか。

  1. ジフテリア         ー 4 類感染症
  2. 麻疹            ー 3 類感染症
  3. 破傷風           ー 2 類感染症
  4. クロイツフェルト・ヤコブ病 ー 5 類感染症
  5. マラリア          ー 1 類感染症
解答

 正しい組み合わせは、4 です。

解説
  1. ジフテリア(Diphtheria)はジフテリア菌飛沫感染による感染症で、2 類感染症に分類されます。五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)で予防可能です。
  2. 麻疹は麻疹ウイルス空気(飛沫核)飛沫接触感染による感染症で、5 類感染症です。MR混合ワクチンで予防可能です。
  3. 破傷風は破傷風菌(グラム陽性有芽胞桿菌)による感染症で、5 類感染症です。
  4. クロイツフェルト・ヤコブ病は、ウイルスや細菌ではなく異常プリオン蛋白による感染症で、5 類感染症に分類されます。
  5. マラリアはマラリア原虫による感染症で、ハマダラカという蚊によって媒介されます。4 類感染症です。

類題 3:以下の感染症のうち、2 類感染症でかつ病原体がウイルスであるのはどれか。

  1. 結核
  2. パラチフス
  3. 痘瘡
  4. SARS
  5. ジフテリア
解答

 正解は、4 です。

解説
  1. 結核は 2 類感染症ですが、病原体は結核菌抗酸菌の一種)なので細菌感染症です。
  2. パラチフスはパラチフス菌細菌)による感染症で、3 類感染症です。
  3. 痘瘡(天然痘)は、天然痘ウイルスによる感染症ですが、1 類感染症です。1980 年にWHOが根絶宣言を行っており、現在までに発生はみられていません。
  4. SARS(重症急性呼吸器症候群)はSARSコロナウイルスによる感染症で、2 類感染症に分類されています。
  5. ジフテリアは 2 類感染症ですが、病原体はジフテリア菌細菌)です。

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